断トツの認知度を誇る「SDGs」
続いて、近年話題に上ることの多い企業経営に関する用語の中から、「健康経営」「ウェルビーイング」「ESG」「SDGs」の四つを取り上げ、その概念の認知度と、志望する企業のそれら施策の推進状況への関心度について聞いてみましたので、まとめて紹介します。まずは各用語の認知度ですが、思わぬ結果となりました。「健康経営」「ウェルビーイング」「ESG」の三つの用語については、いずれも「以前から知っていた」が2割程度、「以前から少しだけ知っていた」が1割超、「今回初めて聞いた」が5割前後と、ほぼ同じ認知度となりましたが、「SDGs」だけは「以前から知っていた」が実に86%に及び、「以前から少しだけ知っていた」の10%を合計すると、認知度96%という驚異的な数字となっています[図表13]。
また、CCCマーケティング総合研究所も2021年10月に、大学生だけでなく16歳~60代の幅広い年代を対象に「社会や自然環境に関するアンケート調査」を実施し、その結果としてSDGsという言葉の認知・理解は「性・年代別では、男性が女性よりも高く、年代が若いほど認知と理解が浸透している」と総括した上で、職業別の認知・理解度の回答結果も公開しています。それによると、「認知・理解派」(「知っていて、十分に理解できている」と「知っていて、ある程度に理解できている」の合計、以下同じ)の割合は、「経営者・会社役員」62.6%、「会社員・公務員(正社員)」59.2%に対して、「学生(大学)」は71.3%、さらに「学生(高校)」に至っては79.0%と8割近くに達し、経営者や会社員とは20ポイント近い差をつけているのです。
同社はこの結果に対して、「これは、大学や高校の教育現場で、SDGsを課題として取り入れている為に、『学び』の一環でSDGsへの認知と理解、そして学生によっては課外活動や自主活動等による行動までもが伴っているといえるでしょう。学生や今後入社してくる新入社員と、彼らより上の世代の間に、SDGs理解の差が発生する可能性を示唆しているようです」とコメントしています。
今後迎え入れる新入社員は、SDGsへの認知・理解だけでなく、それに向けての無意識な行動を取れる割合が年々高くなることになるということです。同社が指摘するように、SDGs理解の差による軋轢(あつれき)が生まれないように配慮していく必要がありそうです。
最後に、志望企業における、これらの企業経営に関連する施策への取り組み状況にどの程度関心があるかを聞いた結果を紹介します。各用語に対しては、次のような解説を付した上で聞いたものになります。
「ウェルビーイング」:社員が、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に満たされている状態にあることを指す「概念」
「ESG」:環境、社会、ガバナンスに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながるとの考え
「SDGs」:2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人として取り残さない」ことを誓う
前述した認知度ほどの差はないものの、やはり最も関心の高い取り組みは「SDGs」で、「関心がある」(「非常に関心がある」と「やや関心がある」の合計、以下同じ)は72%と7割を超えます[図表14]。
次回は、就活学生の実際の行動について見ていきたいと思います。