人事は学生の何を見ているのか

では、企業が面接で重視している質問や、確認したい能力はどんなものなのでしょうか。フリーコメントで回答してもらいましたので、その一部を抜粋して紹介します。

企業が面接で重視している質問
・ものの考え方を確認できるような質問(1001名以上、メーカー)
・入社してどのような職種で何をしたいか(1001名以上、IT・ソフトウエア)
・彼らが感じるやりがいと目指していること(1001名以上、IT・ソフトウエア)
・当社でなければならない理由、当社にどれくらいの熱意があるか(301~1000名、メーカー)
・自分の考えがあるか、コロナの間どうしていたか(301~1000名、金融)
・失敗談や課題解決のために取り組んだこと(301~1000名、サービス)
・困難に直面した時の対応(300名以下、メーカー)
・自主的に取り組んだ内容(300名以下、メーカー)
・自分が何になりたいのか、どうしたいのか等、将来のこと(300名以下、メーカー)
・目標を達成するためにどんな努力をしたか(301~1000名、メーカー)
・受け身の姿勢ではないか、自発的に行動できるタイプか(300名以下、メーカー)
・自分の強みや失敗談をヒアリングし、学生のコンピテンシーを探る(300名以下、メーカー)
・コロナ禍での過ごし方、取り組んだこと(300名以下、メーカー)
・人生観を探る質問。どんなことが幸せか、人生における仕事の重要度の割合など(300名以下、メーカー)
・社会性、他の人との関わりを持った経験(300名以下、IT・ソフトウエア)
・チームで仕事をすることに抵抗がないか(300名以下、IT・ソフトウエア)
・希望する職種で働いているイメージを喚起する質問(300名以下、サービス)
・チームで成果を出すためにどんな取り組みを行ったのか(300名以下、サービス)

確認したい能力など
・リアルな場でのコミュニケーション力(1001名以上、メーカー)
・チャレンジ経験(1001名以上、メーカー)
・人柄の良さと地頭の良さ(1001名以上、サービス)
・コミュニケーション力とストレス耐性(1001名以上、サービス)
・ストレス耐性(301~1000名、メーカー)
・自律性(300名以下、IT・ソフトウエア)
・働く上での意欲、成長意欲(300名以下、サービス)
・コミュニケーションの取り方と語学能力(300名以下、サービス)

また、質問ではありませんが、次のようなコメントもありましたので紹介します。

・学生に寄り添った面接、会話を重視する(301~1000名、メーカー)
・会社の実情を話すようにしている(301~1000名、運輸)
・面接官側に「Z世代の特徴」を事前にレクチャーし、「今までの常識を変えてほしい」と伝えている(301~1000名、商社・流通)

大企業の半数は年内に面接開始

続いて、面接選考の開始時期について確認してみましょう[図表12]。中堅企業では、採用広報の解禁時期である「2024年3月」が21%で最多となっています。中小企業においても、最多は「2024年7月以降」の30%ではあるものの、「2024年3月」も23%とそれに次ぐ高い割合となっています。これに対して大企業では、「2024年3月」が最多とはいえ、「2023年12月」や「2024年2月」などの他の多くの月と同じ13%にとどまり、面接開始のピークという感じではありません。

時期を区切って集計してみると、「2023年6月以前」から「2023年12月」までを合計した「年内」に面接を開始する企業が、大企業で45%と半数に近く、中堅企業で31%、中小企業で16%と、規模が小さくなるにつれ割合は低くなっています。「2024年1月」と「2024年2月」を加えて「採用広報解禁前」まで広げると、大企業では66%と3分の2に達し、中堅企業は48%で半数近く、中小企業では28%とまだ3割に満たない状態となっています。大企業が選考を先行して実施し、次いで中堅企業、そして中小企業が追いかけるという流れは今年も続きそうです。
図表12 面接選考の開始時期
次に、面接の実施形式はどうでしょうか。全体では、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が最多で42%、次いで「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が27%と続きます[図表13]。ただ、「対面形式のみで実施」も21%と割合は高く、「対面形式のみで実施」と「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」を合わせた「対面派」(以下同じ)は63%と6割を超えます。
図表13 面接の実施形式
従業員規模別で見ると、いずれの規模でも「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が最多であることは変わりません。ただ、中小企業は34%で最も低い割合にとどまり、「対面形式のみで実施」(33%)と拮抗する形になっています。「対面派」の割合では、中堅企業が69%で最も多く、中小企業が67%でそれに続きます。大企業においても「対面派」は54%で半数を超えているものの、「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」と「オンライン形式のみで実施」を合わせた「オンライン派」が38%で、他の規模よりも高い割合となっています。一次・二次面接はオンライン形式で実施し、最終面接だけは対面形式で実施するというパターンの企業も、大企業ではまだまだ多そうです。

大企業の3割が内定出しを前倒し

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