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第148回 新卒採用の「早期化」が「長期化」を招く原因にも。採用の現場で人事担当者が苦労している点や学生への所感とは
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また、6月時点での内定辞退率については、内定者の少ない企業の割合が多い中小企業では「0%(辞退者ゼロ)」が36%を占めています。一方、大企業と中堅企業では8~10%にとどまります[図表11]。大企業と中堅企業における内定辞退率で最も多い割合は「20%未満」であり、大企業が41%、中堅企業が28%です。次に多いのはいずれも「40~60%未満」で、大企業が31%、中堅企業が26%です。つまり、“内定者の約半数にすでに辞退されている”企業の割合が3割前後にもなっていることが分かります。2023年卒採用の同時期調査における6月時点での内定辞退率「40~60%未満」の割合は、大企業で20%、中堅企業で23%でした。したがって、中堅企業では3ポイント増にとどまりますが、大企業では10ポイント以上も増加していることになります。先に述べたように、面接選考は大企業のほうが中堅企業よりも先行していましたが、早く内定を出したからといって、内定者が就職活動を止めるわけではありません。遅れて始まった、より上位の志望企業から内定が出れば、簡単にそちらに鞍(くら)替えしてしまう学生の様子が目に浮かびます。
今後の採用活動の方針を聞いてみたところ、企業の規模に関係なく、「すでに選考は終了した」とする企業は15~17%にとどまりました[図表12]。最も多かったのは「新たにエントリーを受け付ける」で、大企業ですら52%と半数を超え、中堅企業では64%、中小企業に至っては77%と8割近くにも及びます。2023年卒採用の同時期調査では、大企業で48%、中堅・中小企業はどちらも56%でしたので、今年は昨年以上に企業、特に中小企業が苦労していることが分かります。