文系の早期内定、3月で内定承諾決断は3割

最後に、3月時点での「内定」関連の結果を確認しましょう。まず、「内定を取得した社数」を文系と理系で比較したところ、文系では「0社(未内定)」が67%、理系では53%でした。つまり、内定率は文系が33%、理系が47%となりました[図表12] 。理系のほうが文系よりもかなり早く選考が進行していることが分かります。これは、それだけ理系人材の争奪戦が激しいことを示しています。最も多い内定社数は「1社」で、文系が19%、理系が24%であり、次に多いのは「2社」で、文系は8%に対して理系は18%と、理系のほうが多くなっています。ただし、「3社」以上の内定社数においては、文系と理系の間にほとんど差が見られません。
[図表12]内定社数(単一回答)
次に、1社以上から内定を取得した学生のみを対象に、「内定承諾の状況」を尋ねたところ、文系と理系では大きく異なる結果が得られました[図表13]。文系では「まだ決めかねており、就職活動を続ける」が63%と6割を超え、内定先への承諾をせずに、より志望度の高い企業の選考に向けた就職活動を継続している学生が多くなっています。一方、理系では、「内定承諾した、もしくは、内定承諾する企業を決めた」が57%と6割近くに上り、さらに「まだ決めかねているが、就職活動は終了した」と合わせると、64%が就職活動を終了していることが分かります。理系の場合、年々利用者は減少傾向にあるとはいえ、原則的に内定が出れば承諾する必要がある「推薦応募」を利用している学生が1~2割程度存在し、これが文系との意識の差に影響を与えていると考えられます。ただし、文系と理系の間には、この要因だけでは説明できない差が存在し、3月時点という早期内定者においては、理系学生のほうが内定先への志望度が高く、迷いなく入社を決断できていることが推測されます。近年では、最初に内定をもらった企業(=自分を最初に評価してくれた企業)を就職先として早々に決める学生が増えているといわれています。これにより、就職活動に対して淡泊というべきなのか、純粋というべきなのか分かりませんが、このタイプの学生が理系に多い可能性もあります。また、早々に就職活動を終了して、一刻も早く大学の研究課題に取り組みたいという動機の学生も存在しそうです。
[図表13]内定承諾の状況(単一回答)
ところで、まだ内定承諾を決断できない理由は何なのでしょうか。内定承諾を決めかねている理由について、主な意見をフリーコメントで以下に紹介します。

【内定承諾を決めかねている理由】
・自身の将来像、かなうべき未来を実現できるのかが疑問だから。実現可能性が低いと感じているから(文系、上位私立大)
・第一志望から内々定をもらったものの、いわゆるオワハラに当たることをされたから(文系、その他私立大)
・まだ就職活動を続け、自分に合う企業を最後まで探したいため(文系、早慶大クラス)
・自分の力がどこまで通じるのか試したいから。また、自分の目指しているところが合っているのか、まだ分からないから(文系、上位私立大)
・勤務地について地元で働くか、地元を出るか迷っているため、幅広く企業を見る必要があるから(文系、旧帝大クラス)
・公務員試験を受験するため(文系、旧帝大クラス)
・就活を通した自己成長を目指し、大手も受けてみたいと考えているため(文系、中堅私立大)
・面接練習用企業のため(文系、上位私立大)
・ほかにも志望度の高い企業の選考があるから(理系、旧帝大クラス)
・現在、研究活動に忙しく、ゆっくり考える時間が欲しいため(理系、上位私立大)
・業界も職種も異なる他社と迷っており、その選考はまだ始まったばかりだから(理系、早慶大クラス)
・就活の軸が変わったため(理系、中堅私立大)
・進学と迷う(理系、中堅私立大)

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