4社以上のインターンシップ参加者が過半数に
さて、ここからは就活生を対象に実施した「2024年卒学生の就職活動動向調査」の結果を見ていきます。まずは、「インターンシップ参加社数」です。文系と理系を比べてみると、文系では「10社以上」が最多で24%と4人に1人となっており、次いで「4~6社」18%、「3社」14%などが多くなっています[図表9]。インターンシップを「対面型」と「オンライン型」に分けて参加社数を聞いたところ、対面型では「10社以上」は文系3%、理系1%と極めて少数派であり、「4社以上」に広げても、文系13%、理系11%と1割強しか参加していません[図表10]。
参加した社数では文系・理系ともに「1社」が最も多く、次いで「2社」が続き、両方を合わせると、文系で40%、理系では47%となるなど、参加社数が少ないのも特徴です。逆にいえば、対面型で学生と接点を持つことができたこれらの企業は、学生に強いインパクトを残すことができたものと推測されます。
一方、オンライン型では、「10社以上」が文系・理系ともに12%あるのをはじめ、「4社以上」に参加した学生は文系41%、理系40%と4割にも及び、参加経験のない学生はいずれも24%に減少します[図表11]。
理系向け、10月のインターンシップは鬼門か
今度は、「インターンシップ参加時期」について、文系・理系別に、さらに対面型とオンライン型を比較しながら見ていきましょう。それぞれの形式ごとにインターンシップへの参加経験のある学生だけに絞って集計していますので、対面型とオンライン型の回答母数は異なります。ご注意ください。まずは、文系からです。対面型・オンライン型で差が見られなかったのは、「2022年6月以前」と「2023年3月」で、それぞれ16%、8%でした[図表12]。残りの時期はすべてオンライン型が対面型を上回っているものの、月ごとの増減の傾向はほぼ似通ったものとなりました。
また、「2024年新卒採用動向調査」では、「9月」(30%)、「10月」(27%)、「11月」(30%)、「1月」(30%)は、「8月」と比較して実施企業の割合が半分程度になっていたのに対して、学生の参加割合は「8月」と比較してそれほどの減少は見られません。「8月」はインターンシップ実施企業が多く、応募学生の熾烈な争奪戦になるのに対して、それ以外の月は実施企業がそれほど多くなく、効率的に応募学生を集めることができそうだと推測できます。先に挙げたように、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」要件に合致させるには、長期休暇、すなわち夏期休暇中に実施する必要があります。「8月」よりは「9月」に実施するほうが良さそうです。さらに、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」要件にこだわらないのであれば、「10月」「11月」「1月」などもねらい目となってきます。
一方の理系ですが、ほぼすべての時期でオンライン型が対面型を上回っている点は文系と似ているものの、一部では異なる様相も呈しています[図表13]。例えば、「8月」のオンライン型は61%と際立って高く、文系の53%と10ポイント近くも高くなっています。翌「9月」は文系の49%とほぼ同程度の51%なのに対して、「10月」は文系の44%より6ポイント低い38%となっており、結果的に8月から10月にかけては23ポイントも減少しています。ちなみに、この間の文系の減少幅は9ポイントに過ぎません。
来年度以降、対面型でのインターンシップをさらに強化する企業が増えるものと予想されますが、理系学生をターゲットにする場合、実施時期は10月を避けたほうが良さそうです。