社会貢献、福利厚生を重視
次は「重視する社会的責任の魅力」です[図表10]です。こちらもトップは文系・理系ともに「事業自体が社会貢献」で、文系32%、理系はさらに多く43%となっています。かつて、バブル期には「メセナ」として脚光を浴びていたこれらの活動を評価する学生は少なくなっているようです。また、近年話題となっている「SDGsの取り組みに熱心」を挙げる学生が、「ダイバーシティを推進している」や「地球環境に配慮している」を上回る結果となっています。
“重視するもの”の最後に、「重視する雇用の魅力」を見てみましょう[図表11]。こちらはすべての項目について、文系と理系の割合差がほとんどなく、順位も全く同じという珍しい結果となっています。
能力面で理系に遅れをとる文系
次に、就職活動でアピールしたい自分の能力について、文系と理系を比較してみましょう。文系・理系ともに「チームで働く力」が最多で、それぞれ50%、49%と半数の学生が選択しています[図表12]。前年の調査でも、文系・理系ともに53%でトップでしたので、大きな変化はないです。ただ、そんな中でも、文系と理系を比べた際に、大きなポイント差がついた項目がいくつかあったので、少し見てみましょう。最もポイント差があったのは、「専攻学問の専門知識」で、理系26%に対して文系はわずか6%と20ポイントもの差がついています。次いで「論理的思考力」も、理系37%に対して文系18%と19ポイント差となっています。そのほか、「プログラミングスキル」12ポイント差、「データ解析能力」9ポイント差、「基礎的な学力」8ポイント差、「考え抜く力」7ポイント差など、いずれも理系のほうが高くなっています。
「プログラミングスキル」は仕方ないとしても、その他の項目の差は問題です。「データ解析能力」も最近では文系・理系問わず、ビジネスに欠くことのできない重要な能力であるとしてリスキリングする企業も増えています。大学教育の見直しももちろん必要ですが、すぐに変わることは期待できず、まずは企業自身で改善の方策を検討する必要がありそうです。