大企業と中堅企業のインターンシップ実施率は互角

ここからはインターンシップの実施状況について見ていきたいと思います。全体では57%の企業が「実施する」(「前年は実施していないが、今年は実施する」と「前年同様に実施する」の合計、以下同じ)としており、「前年は実施したが、今年は実施していない」が3%、「前年同様に実施していない」が24%、「未定・検討中」が17%となっています[図表8]
[図表8]2023年新卒採用向けのインターンシップ実施状況
12月の段階で「未定・検討中」の企業は、プログラムの企画期間や募集期間を考えると、実質的には「実施しない」になる企業が多いものと推測されます。企業規模による差異は見られるものの、かつてあった大企業と中堅企業の実施割合の差はなくなってきているようです。今回の調査で「実施する」企業の割合は、大企業で68%、中堅企業69%となっており、2021年10月に実施した2022年卒採用に向けての調査でも「実施する」企業の割合は、大企業54%、中堅企業53%となっています。前回は10月調査ということもあり、「未定・検討中」企業が大企業でも24%もあるなど、「実施する」割合は今回よりも低めとなっています。

ただ、中小企業での「実施する」割合はまだ低く、44%と半数以下にとどまっているほか、「前年は実施したが、今年は実施していない」が4%もあります。企画、募集、運営、実施後のフォローとなると、中小企業ではまだハードルが高いと感じる企業が少なくないのではないでしょうか。

次に、インターンシップを実施する企業を対象に、「インターンシップを実施する時期(月)」について予定を含めて聞いた結果が[図表9]です。
[図表9]インターンシップの実施月(予定含む)
全体では、「2021年8月」が最多で51%と過半数を占めます。次いで「2022年2月」48%、「2022年1月」44%と続きます。8~9月をサマーインターンシップ期間と呼ぶことが多いですが、「2021年9月」は35%と「8月」「1月」「2月」と比べると、かなり実施率に差が出ています。その他の月では、「2021年12月」が31%と高くなっています。長期休暇中ではないものの、オンライン形式での実施が後押ししているものと推測されます。

一気に拡大した「対面形式とオンライン形式の混合型」

続いて、「実施したインターンシップの形式」について、「対面形式」、「オンライン形式」、「混合形式(複数回開催が前提)」で選択してもらったところ、企業規模による明らかな差異が見られました[図表10]
[図表10]実施したインターンシップの形式
「すべてオンライン形式で実施」こそ、企業規模による差異はほとんどなく、26~29%と似たような傾向となりましたが、「すべて対面形式で実施」と「対面形式とオンライン形式を混合して実施」の割合は企業規模で全く異なります。大企業では、「すべて対面形式で実施」は18%と2割にも満たず、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」は53%と過半数に達しています。一方、中小企業では、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が20%にとどまり、「すべて対面形式で実施」が52%と過半数を占めます。割合はちょうど逆転している状況です。中堅企業はその中間の割合で、「すべて対面形式で実施」が35%、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が39%と拮抗しています。

参考までに比較対象として、2020年10月に実施した「2022年新卒採用活動動向調査」の結果を紹介します[図表11]
[図表11]【参考】実施したインターンシップの形式(2022年卒)
この時点では、「すべてオンライン形式で実施」の割合がどの企業規模でも最も多くなっているとともに、その割合は企業規模によって大きく異なり、中小企業41%に対して、中堅企業55%、大企業では67%と企業規模が大きいほど割合が高くなっていました。コロナ禍1年目ということもあり、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」する余裕のあった企業は少なく、大企業ではわずか11%にとどまります。今回の調査では53%であったことを考えると、たった1年の違いで隔世の感があります。今から思えば、当時は「対面形式」で予定していたインターンシップを、いかに「オンライン形式」に置き換えるかということで精いっぱいだったのではないかと推測されます。

在宅勤務による制約を受ける大企業

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