秋シーズンにもインターンシップ開催へ
次に、インターンシップの実施予定時期についても見てみましょう。全体で最も多く実施されるのは「2021年8月」で58%、次いで「同年9月」が52%で続きます[図表7]。7月開催の企業がこれだけ増えた背景には、大きく二つの理由があると思われます。一つは、これまで就職ナビ頼りだったインターンシップの募集について、6月1日以降という時期的な制約を受けない自社採用ホームページで告知や参加申し込み受付をする企業が増えたこと。もう一つは、その就職ナビ自体も、かつてのようにインターンシップ情報の掲載や参加申し込み受付を6月1日から開始するのではなく、5月からインターンシップ情報の掲載と参加申し込み予約を始めており、6月1日はあくまでも就職ナビから企業へ参加申し込み受付データの受け渡し開始日に過ぎなくなったことです。就職ナビでインターンシップ募集を知り、参加申し込みはその企業の採用ホームページからという動きもあります。実質的な募集や参加申し込み受付を早めることができれば、7月のインターンシップも実施可能になってきたというわけです。
もう一つ、昨年の調査と比較して明らかに異なるのは、「2021年10月」「同11月」の秋シーズンに実施を予定している企業の多さです。昨年と比べてみると、「10月」:昨年31%→今年38%、「11月」:昨年31%→今年36%となっています。「12月」は昨年も今年も40%で変わりません。オンライン開催が可能になったことで、長期休暇のない秋シーズンにも実施を計画する企業が増えたものと思われます。
従業員規模別にも見てみると、大企業では「2021年9月」が70%で昨年と同様に最も多く、次いで「同8月」と「同10月」がともに63%で並びます[図表8]。
中堅企業では、「2021年8月」が67%で最も多く、次いで「2022年2月」が60%、「2021年9月」が57%で続きます。秋シーズンは30%台にとどまっており、過去のこれまでの傾向に最も近い結果となっています。中小企業は、「2021年8月」が最も多いとはいえ49%と半分に満たず、その代わり「2021年6月以前」(「2021年5月以前」と「2021年6月」の合計)が25%と他の規模の企業よりも突出して多くなっているとともに、「2022年3月以降」も15%で他の規模の企業より多くなっています。早期開催組と後半開催組も多いことから、採用シーズン内に大きな山を形成することなく、時期を問わず満遍なく実施される傾向となっています。
対面型のセミナー・説明会の復活はあり得るのか
最後に、セミナー・説明会の実施形態について見てみましょう。全体では、「未定」の企業が26%と4分の1以上ありますが、最多は「対面型とオンライン型の両方を実施予定」で40%、次いで「オンライン型のみを実施予定」が28%、「対面型のみを実施予定」はわずか6%となっています[図表9]。従業員規模別に見ると、大企業で「対面型のみを実施予定」はゼロですが、「対面型とオンライン型の両方を実施予定」と「オンライン型のみを実施予定」はともに37%となり、「未定」(26%)を除外すると、ともに50%となります。つまり、すべての企業がセミナー・説明会をオンライン型で実施するものの、半数の企業は対面型でも実施を考えているということになります。同様に中堅企業、中小企業も「未定」を除外して集計し直してみると、「対面型実施予定」の企業はそれぞれ53%、74%と、規模が小さくなるほど「対面型実施予定」の割合は高くなり、中小企業では4分の3近くにもなります。
前回の本稿の[図表3]では、2022年卒採用のセミナー・説明会において、「対面型」で実施した企業の割合は、大企業43%、中堅企業42%、中小企業44%となっていました。「(セミナー・説明会を)実施していない」企業も含まれていましたので、それを除外して集計し直すと、大企業44%、中堅企業46%、中小企業65%となります。前年比較では、「対面型実施予定」の企業の割合は、大企業6ポイント、中堅企業7ポイント、中小企業9ポイントのアップとなっています。
これまで見てきたように、「対面型」への揺り戻しが起こりそうですが、変異株(デルタ株)の影響は大きく、新型コロナウイルス感染者は増加の一途をたどっており、国内でのワクチン接種がある程度進行したとしても、対面型での開催実現にはまだまだ時間がかかりそうな気配です。
次回は、就活生を対象にした「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果について、見ていきたいと思います。