内定承諾の基準は条件面より事業内容や仕事内容

次に、入社を決めた企業への内定承諾の決め手について見ていきましょう[図表10]。最も多かったのは「事業内容」の62%、次いで「仕事内容(自分の専攻やスキルが活かせる)」が55%、「企業規模」「社風」が46%などとなっています。上位二つは6割前後の理系院生が挙げており、条件よりも仕事ベースで入社企業を選ぶ学生が多い傾向がうかがえます。
第115回 理系学生(院生)はどのような方法で情報収集を行い、どのような点を重視して企業を選んでいるか
「楽天みん就」と6月に共同で実施した「2021年卒学生の就職活動動向調査」の結果では、文系学生は「仕事内容」が73%と最多で、次いで「会社の雰囲気」と「事業内容」がともに60%となっていたことからも、「事業内容」や「仕事内容」の項目については文系・理系関係なく、学生が入社する企業を決める際に重視される要素となっていることが分かります。また、「企業規模」が3位にランクインするあたりに、理系学生、特に大学院生においてはやはり「大手志向」が強いことがうかがえます。

一方、ポイントが低かった項目に着目した場合、もう少し上位でもいいのではないかと思えるのが、「人事制度・評価制度」(4%)、「教育体系・育成方針」(9%)、「配属先の希望実現率」(9%)、そして理系であればもっと重視してほしい項目として「商品・サービス・技術力」(14%)が挙げられます。かつては「技術力」にこだわりを持つ理系学生がもっと多かったと記憶しているのですが、近年の理系学生は文系学生との垣根が低くなっているということなのでしょうか。

最後に、理系大学院生は自身の専門分野を活かせるかどうかも重要な判断軸になりそうですが、この点についてはどう考えているのでしょうか。「学生自身の研究テーマ・専攻分野と入社後の業務の関連性」について聞いてみたところ、「自身の専攻分野の知識を一部活かすことができる」が最も多く41%で、「自身の具体的な研究テーマと関連が深い」は意外にも10%にとどまりました[図表11]
第115回 理系学生(院生)はどのような方法で情報収集を行い、どのような点を重視して企業を選んでいるか
「自身の具体的な研究テーマと関連が深い」「自身の専攻分野と関連が深い」「自身の専攻分野の知識を一部活かすことができる」までを合計すると73%と4分の3近い学生が、自身の専攻分野に関わりのある業務を選んでいることが分かります。ただ、裏返せば、大学院まで進学したものの専攻分野での限界を感じたのか、新たな分野に興味を持ったのか、「ほとんど関係ない」とする学生が22%もいるということになります。ぜひ新しい分野で活躍してもらいたいものです。

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