入社式の開催を予定する企業は8割近く、大企業・中堅企業では9割以上

続いて、この4月に入社してきた新卒新入社員の「入社式の開催」についての動向を見てみましょう。まずは「入社式の開催予定の有無」については、「開催の予定があった」企業が77%で8割近くを占め、「開催の予定はなかった」が8%、「2020年卒新入社員はいない」が15%となっています。企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「開催の予定があった」が92%で9割以上を占めており、中小企業では62%となっています[図表6]
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
大企業と中堅企業のほとんどで予定されていた入社式ですが、開催形式はどのような形式での実施を予定していたのでしょうか。9割以上が実施を予定していた大企業と中堅企業の入社式の開催形式については、「1会場で全員が集合して実施」が91%と大半を占め、「複数の会場に分散して実施」が4%、「オンラインツールを活用して実施」が3%となっています[図表7]
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
企業規模別に見ると、大企業では「1会場で全員が集合して実施」が81%、「複数の会場に分散して実施」が9%、「オンラインツールを活用して実施」が9%となっています。より参加者が多いと推測される大企業では、1カ所に多数の参加者が集合しない、エリア別等の形式での入社式開催を約2割が予定していました。一方、中堅・中小企業では9割以上が「1会場で全員が集合して実施」を予定していたようです。

回答企業のほとんどが「1会場で全員が集合して実施」を予定していた中、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを回避するため、開催形式を変更した企業はどれだけあったのでしょうか。

8割の大企業で入社式開催(時期・内容)の予定を変更

入社式の開催を予定した企業の中で、入社式開催(時期・内容)について「(予定変更が)ある」と答えた割合は61%に上りました[図表8]。これを企業規模別に見ると、大企業で79%、中堅企業で61%、中小企業で49%となっており、企業規模に比例して予定変更をする企業の割合も高くなっていることが分かります。
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
入社式開催まで1カ月を切ってから急きょ変更を迫られた企業の人事部は、どのような変更を実施したのでしょうか。

開催形式の変更内容では、「プログラムを短縮して実施」が27%で最も多く、次いで「開催を中止」が24%、「開催時期を延期」が22%となっています[図表9]。企業規模別で見ると、大企業では「複数の会場に分散して実施」が最も多く32%で、次いで「開催を中止」と「プログラムを短縮して実施」がともに27%となっており、多数の参加者が1カ所に集合することを回避する狙いがうかがえます。中堅企業で最も多い変更は「開催を中止」(31%)で、中小企業では「プログラムを短縮して実施」が37%で最多となっています。
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
当初予定していたとおりの形式で実施することができなくなる中でも、あらゆる対策を講じることで何とか入社式を開催しようとする企業や、新入社員への感染リスクを回避しようと中止を決断する企業など、さまざまな対応を通して企業の新入社員に対する思いが感じられます。

「入社式開催の延期」について、検討している延期の時期を確認したところ、「4月中(1日以外)」が46%で最多となり、次いで「5月」が29%、「6月」が17%などとなっており、合わせて92%の企業で2カ月以内の延期を予定していることが分かります[図表10]
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない現状において、絶対に安全な開催時期を選定することはほぼ不可能ですが、入社式は新入社員にとって社会人として心新たに迎える節目のイベントであり、大幅に延期することとなれば入社式としての意義が失われかねず、企業は難しい判断を迫られているといえます。そんな中、大企業では、「10月以降」とする割合が13%もあることが目を引きます。

一方、予定どおり入社式を開催する企業にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「参加者が少人数である」が74%で、次いで「開催時間が短い」が54%などとなっています[図表11]
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
どのくらいを「少人数」と捉えるかは見方によりますが、特に中堅・中小企業では「参加者が少人数である」という理由が8割を占め、少人数であれば感染拡大のリスクは大きくないという認識から予定変更をしない決断をしたことがうかがえます。一方、大企業では「参加者が少人数である」は30%にとどまり、他の理由との分散化が見られます。

大企業では6割が新入社員研修の時期や期間を変更

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