4月1日に多くの企業が新年度を迎えましたが、新型コロナウイルスの影響で新卒社員の入社式を中止または延期する企業が多かったようです。入社後もしばらくは在宅でのオンライン研修を行う企業も少なくありません。この状況下では当然のことではありますが、入社してリアルな対面なしに過ごすことへ不安を持つ新卒社員も少なくないでしょう。オンラインでのきめ細かなコミュニケーションが重要になるのは間違いありません。
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
きめ細かなコミュニケーションが重要なのは、もちろん新卒社員に対してだけでなく、これまで在宅勤務の経験がほとんどなかったような一般社員も同様です。既にリモートワークに慣れた企業にはそれほど問題ではないでしょうが、この新型コロナウイルスの影響でリモートワークをせざるを得なくなった社員に対して、どのようなフォローを会社として、人事として、部門として行えるかは、非常に重要なことだと思います。そして、それらがバラバラな施策としてではなく、連携して行うことが必要でしょう。

今後、HR総研では、こうしたリモートワーク環境下で企業に起こる問題と、その対策として行われていること、その結果・ノウハウなどについて調査を実施し、皆さんに情報提供していきたいと思います。

さて、では弊社自身はどうかというと、リモートワークは一部社員では実施していましたが、全体的にはそれほど多くありませんでした。それが、この状況下で、多くの社員がリモートワークとなっています。私自身もリモートワークをしています。新入社員関連で実施していることとしては(始めたばかりのこともありますが)、

・全社で導入しているチャットツールで、一層きめ細かく情報発信しコミュニケーションを取る
・私自身、情報発信の頻度を高める
・部門ごとのチャットグループでのコミュニケーションを他の部門社員も閲覧し、情報共有できるようにしている(すべてではない)
・入社式は私と人事、新入社員だけで行い、オンラインで全社員にリアル動画配信。新入社員はそこで自己紹介
・新入社員は入社式後に全社チャットツールに入り、コミュニケーション開始
・一社員の発案で、新入社員の日報をチャットツールで公開し、希望者がフィードバックし、コミュニケーションが取れるようにする
・新入社員は翌日から在宅でオンライン研修。私、人事、部門がコミュニケーションをきめ細かく行う

などです。全社導入のチャットツールは、こうした施策を連携して行っていることが“見える化”され、非常に便利だと感じます。また、社員の発案で上記のような工夫が出てくるのも良いですね。ちょっとしたことですが、少しでもご参考になればと思います。

新卒採用活動への影響を懸念する企業は7割

新型コロナウイルス感染の影響は、世界中の各国で驚異的な速度で拡大し続けており、東京オリンピック・パラリンピックはついに1年延期が決定。日本国内では初の「緊急事態宣言」の発令が発令され、新型コロナウイルスとの長期戦を覚悟せざるを得ない状態となっています。しかし、そのような状況の中でも、企業は事業継続を前提とした活動を行っていく必要があり、4月で新年度を迎えるこの時期は、新卒採用や新入社員受け入れを行う大事な時期となっています。今回は、HR総研が3月27日(金)~31日(火)に実施した「新型コロナウイルス感染拡大による新卒採用や新入社員受け入れへの影響に関する緊急調査」の結果をお知らせしたいと思います。

まず、「採用活動に関する影響の有無」については、「影響がある」が39%、「まあまあ影響がある」が30%となっており、これらを合計した「多少なりとも影響がある」(以下同じ)は69%と7割に上り、3月初旬に行った前回調査時よりさらに10ポイント増加となっています[図表1]
第109回 新型コロナウイルス感染拡大で変わりゆく「新卒採用」や「入社式」、「新入社員研修」の中身とスケジュール
企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「多少なりとも影響がある」がそれぞれ86%、82%と8割以上を占め、中小企業では53%と半数程度にとどまっており、中堅企業以上に影響を受ける企業が多いことがうかがえます。また、企業規模に関わらず、前回調査時より「多少なりとも影響がある」と懸念する企業の割合は増加傾向にあります。

数週間前までは、数カ月程度で収束に向かうだろうと予測していたものの、政府から「長期戦になる」との発表もあるとおり、今後、新型コロナウイルス感染拡大がいつまで続くか予測できない中、何らかの影響を覚悟せざるを得ない状況になっている企業の増加がうかがえます。

「採用スケジュールの遅延」への懸念が7割近く、中小企...

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