就活を経て、社会人を見る目が変わる

ここからは、【佳作】に入選した作品から4作を紹介します。

サラリーマン 偉人に見える 就活期 (神奈川県 モチモチのパンさん)

普段、街中や電車の中で、何気なく目にしているサラリーマンやOLの人たち。実は、彼ら、彼女らも全員が就職活動の関門を乗り越えて、今があるんだということに気づいたとき、尊敬の念を抱くとともに、みんなが偉人に見えたという句です。酔っぱらってネクタイを鉢巻きのように頭に巻いている新橋のオジサンたちでさえ、もう笑うことはできません、偉人なんですから。早く、偉人の仲間入りができることを祈っています。

それ他社(よそ)の 浮かぶ冷や汗 ああ落ちた (東京都 カフェ&バー豊永さん)

とある食品メーカーの面接で、その会社の好きな商品を聞かれた際に、間違って競合他社の商品名を答えてしまった瞬間の一句とのこと。エントリーシートの志望動機欄などを使い回すときにも起こりやすいミスですが、面接ともなるとその瞬間は凍り付いたに違いありません。ましてやこれが最終面接で役員相手にしでかした日には、笑ってごまかすことも不可能です。よくあるネタだけに、これから面接を受ける人は十分気を付けてほしいものです。

祈っても 想い届かず 祈られる (東京都 ぴろきさん)

「この企業に絶対に入りたい」「何でもするから受からせてくれ」と企業に想いをはせ、合格することを祈り続けても、企業から届くのは「今後のご活躍をお祈りしています」のお祈りメールばかりという句。企業と就活生のすれ違いを表現したものですが、これは学生からばかりではなく、採用担当者からも同様の嘆きが聞こえてきそうです。

クールビズ 真に受け面接 みな正装 (兵庫県 末式部さん)

2011年の東日本大震災以降、節電を理由にクールビズやドレスコードフリーを採用している企業が一気に増えました。そのため夏場の面接では、学生に対しても「服装はクールビズで」とか、「カジュアルな服装でお越しください」と案内されることも少なくありません。
ただし、学生からしてみると、前後に別の会社の面接が入っていたりしたら、その会社だけクールビズの服装で訪問するわけにはいきません。もちろん、前後の予定がなかったとしても、学生からしてみれば、クールビズやドレスコードフリーの服装を考えるよりも、いつものスーツにしてしまったほうが楽なのです。結果的に面接会場はスーツの学生ばかりになります。真正直にカジュアルな服装で参加した学生の悲哀を詠んだ一句。本当に面接学生の服装をクールビズにしたいのであれば、企業ごとに任せるのではなく、全社にクールビズ面接をルール化しない限り、無理な話だと思います。
第101回 2020年卒「就活川柳・短歌/就活川柳・短歌」入選作品発表! 人事・就活生の本音が見える傑作揃い
ProFutureのオフィシャルページでは、「2020年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の全入選作品の作者の思いも掲載しています。どんな気持ちでこの川柳や短歌が生まれたのか、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひご覧ください。

>>ProFuture 「2020年卒 就活川柳・短歌」オフィシャルページ

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