7割近い大企業が3月までに面接を開始

次に「選考面接の開始時期」を見てみましょう。面接の開始時期として最も多いのは「2019年3月」で、全体の30%になります。大企業の32%、中小企業の23%に対して、中堅企業では43%と突出して多くなっています。全体で次いで多いのは「2019年4月」で、全体の18%になります。
第97回 就活ルールは2020年卒から実質廃止状態? ── HR総研「2019年&2020年新卒採用動向調査」
大企業の動きを見てみると、「2019年3月」「2019年4月」に次いで多いのは、「2018年10月以前」と「2019年2月」でともに11%もあります。「2019年3月」までに面接を開始した企業を合計してみると、大企業は68%と7割近くに達し、中堅企業の65%とは大差はないものの、中小企業の51%よりもはるかに多くなっています。

内定出しでも大いに先行する大企業

次はいよいよ「内定出しの開始時期」です[図表9]。株式会社ディスコの調査によれば、「4月1日時点の内定率はすでに26.4%に達し、前年から7.6ポイント上回る」とか、「10連休となるゴールデンウイーク前に内定を出し始める企業は51.4%で、前年から6.2ポイント高まる」と発表されていますが、その実態はどうなのでしょうか。ゴールデンウイーク前に内定を出すかどうかを調べた上記の調査は1月28日~2月6日に行われており、そこからさらに進んだ状況での今回の調査結果は、より実態に近いものになっているはずです。
第97回 就活ルールは2020年卒から実質廃止状態? ── HR総研「2019年&2020年新卒採用動向調査」
内定出しの開始時期として最も多かったのは「2019年4月」で、全体の24%、大企業も同じく24%になります。全体では、次いで「2019年5月」(18%)、「2019年3月」(17%)と続きますが、大企業だけを見てみると「2019年5月」はわずか8%しかなく、逆に「2019年3月」は19%と全体よりも多くなっているほか、「2018年12月」が11%、さらには「2018年10月以前」と「2018年11月」がともにすでに5%もあるなど、全体よりも前倒し傾向が見て取れます。「ゴールデンウイーク前に内定を出し始める」、つまり「2019年4月」までに内定を出し始める企業を合計してみると、「面接の開始時期」と同様、大企業の先行ぶりが如実に表れます。全体では55%ですが、大企業ではそれよりも10ポイントも高い65%に達しているのです。ちなみに、中堅企業が55%、中小企業は51%ですから、大企業の突出ぶりが分かります。「ゴールデンウイーク前に内定を出し始める」企業の割合を押し上げているのは、大企業にほかならないということです。

経団連の指針の廃止はあくまでも2021年卒採用からであり、今年の2020年卒採用ではまだ指針は継続されているはずですが、実質的にはもはや「廃止」と言っても過言ではない状況になっています。今年ですらこの状況ですから、正式に「廃止」となる来年はどんな状況になるのでしょうか。

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