店舗はダイバーシティ推進の現場
「DCカウンシル」による取り組みの3つ目は「店舗見学ツアー」だ。現在、374店舗のうち24店舗が女性店長。そこに「DCカウンシル」のメンバーが出掛けて行き、活躍している女性リーダーに会い、その仕事ぶりを見たり、交流を通じてヒントを得るというものだ。現場のマネジメントについて、DCでも参考になる点、展開できることなどを学ぶよい機会になったという声が集まっている。
店舗はお客様と接する営業の要であり、ダイバーシティ推進の現場でもある。そこを見るのは大きな意味があると思う。
──主に直近の活動についてお伺いしてきましたが、過去の取り組みの中で、特に重要なもの、特に印象的なものを挙げるとすれば、何になりますか。
たとえば、男性管理職を対象にした「ダイバーシティ&インクルージョンセッション」が挙げられる。女性役員がファシリテーターとなって進めるグループディスカッションがメインで、男性管理職が女性の活躍推進についてどのように考え、どのように行動しているのかを聞いていくというものだ。その中で互いの経験を共有し、悩みをぶつけ合い、解決策を探ることになる。
最初はなかなか本音が出てこないのだが、誰かが思い切って本音を話すと、議論が深まる。参加してよかったという人が多かった。
──男性管理職としては、なかなか本音が言えない気がしますが。
人事部内にある組織が担当するよりも、「女性リーダーカウンシル」という組織図上にはない、ボランティアで活動しているからこそ本音が聞き出せる。
ダイバーシティの推進には男性、女性が互いに認め合うことが大切なのは言うまでもないが、特に男性上司のマインドセットが重要だ。参加した男性も部下を持つ人たちだ。女性の活躍推進についてより深く理解しようという気持ちで出席してくれたのだと思う。
すぐにダイバーシティ活動の成果は出ない
──6年間でいろいろなことに取り組んできたのですね。年初にかっちりとした計画を立てるのではなく、先ほどお話した「ヒアリングセッション」などを通じてアソシエイトの声に真摯に耳を傾け、柔軟性をもって活動に取り組んでいる。
ダイバーシティ推進活動はすぐに成果が出るものではない。当社では2004年の正社員登用制度から数えると約10年、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する活動を行ってきた。その中で、パート社員の正社員への登用人数が増えるなど、徐々に結果が出ている。やはり、継続が重要だ。
──今後の取り組み予定は何かありますか。
店舗におけるダイバーシティ&インクルージョン推進ということになると思う。店舗の女性アソシエイト支援としては、2013年は「女性アソシエイトセッション」を関東で3回開催した。
店舗で働く女性アソシエイトによるディスカッションや、女性店長・Co-Mgr(副店長)によるパネルディスカッションを行い、現在、抱えている課題や今後のキャリア目標などについて考える機会となった。今後は、「DCカウンシル」をモデルにしながら店舗にも活動を広げていきたい。
また、当社には西友サービスという特例子会社があり、障害者雇用にも積極的に取り組んでいる。印刷業務、事務処理業務のほか、店舗にも相当数の障害者が働いている。また外国人もいるし、他社からの転職者も多い。多様性が高い会社と自負しているが、今後も取り組みを強化していく予定だ。