初めての面接、ピークは2月から1月へ前倒し

セミナー・会社説明会への参加社数では、活動量はわずかに減少していましたが、次のステップである「面接」はどうでしょうか。2022年卒からの3年間を比較した結果を見てみましょう。文系学生の場合が[図表8]、理系学生の場合が[図表9]です。まず、文系の場合、最も多かったのは「0社」であり、その割合は32%と3割を超えますが、2023年卒からは2ポイントの増加にとどまります。全体的に2023年卒との差異は少なく、唯一「4~5社」の割合が14%から9%へと5ポイント減少したところが目立つ程度です。残りは「0社」と同様、1~2ポイントの差の範囲にとどまっていますので、活動量としてはほぼ変わらないと推測されます。

一方、理系の場合は、「0社」の割合が7ポイントも増加したものの、「1社」と「2社」はそれぞれ5~6ポイント減少し、これらを合計した「2社以下」の割合を比較すると、2022年卒から順に58%、55%、51%と年々減少していることが分かります。中程度の社数は増加していますが、4ポイントも増加したのは「3社」だけで、「4~5社」や「6~10社」はほぼ変わりません。「11~15社」から「21社以上」の社数の多いグループもほぼ変化がありませんので、こちらも活動量としてはほぼ変わらないと推測されます。
[図表8]面接社数の比較(文系、単一回答)
次に、「面接を初めて受けた時期」について、文系学生と理系学生を合わせた過去3年間の比較を行います。2023年卒では、「前年7月」から「本年1月」までの割合が増加し、「本年2月」と「本年3月」は大きく減少しましたが、この傾向は2024年卒でも続いています[図表10]。「本年2月」と「本年3月」の合計は、2022年卒から順に50%、33%、29%と大きく減少しており、2024年卒では3割以下になっています。2022年卒と比較して、「前年6月以前」から「本年1月」まではすべての時期で増加傾向にありますが、特に「(前年)12月」と「本年1月」はそれぞれ4~5ポイント増加しています。その結果、面接を初めて受けた割合が最も高い月は、2023年卒までの「(本年)2月」から「本年1月」へと前倒しが進んでいます。
[図表10]面接を初めて受けた時期の比較(単一回答)

コロナ禍に負けず、「ガクチカ」に取り組む学生たち

2024年卒の学部生の場合、大学入学時点(2020年4月)ですでにコロナ禍が始まっており、対面での入学式もなく、同期入学の学生たちと直接会うこともできないまま、ずっとオンライン授業のみでの大学生活がスタートしました。実際にキャンパスに足を踏み入れたのは、昨年、つまり大学3年生になってようやくという学生も多かったようです。このように対面での活動を制限された世代に対して、「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」のアピールは難しいだろうとの声をよく聞きます。以前、本欄でも従来とは違う視点で評価する必要があるのではないかとも書きましたし、3月には日立製作所が面接選考時に「ガクチカ」の質問はしない方針であることを発表しました。では、当事者である学生たちはどう感じているのでしょうか。

コロナ禍での大学生活を送る中で、「ガクチカ」に取り組むことができたかを尋ねたところ、文系学生の44%、理系学生の57%が「コロナ禍に関係なく取り組めた」と答えています[図表11]。「コロナ禍で新たに見つけ、取り組めた」と答えた学生を含めると、文系では76%、理系でも79%となり、8割近い学生が「取り組めた」と回答していることになります。「コロナ禍で取り組めなくなった」と弱音を吐いた学生は文系で20%、理系ではさらに少ない11%だけでした。大人たちが心配する以上に、学生たちはそれぞれ工夫して頑張っていたようです。
[図表11]「ガクチカ」への取り組み状況(単一回答)
「取り組めた内容」、あるいは「取り組めなかった内容」として学生が記入したフリーコメントを紹介します。

【コロナ禍に関係なく取り組めた内容】
・学習塾のアルバイトでのイベント企画(文系、上位私立大)
・人材業での就活エージェントとしての活動(文系、上位私立大)
・インターン、サークル。コロナだからといって、何ができなかったかということは分からない(文系、早慶大クラス)
・よさこいサークルに所属して、毎日家にいることがないくらい充実した活動ができた(文系、その他私立大)
・自転車で日本全国を踏破すること(理系、上位国公立大)
・フライングディスク部で、創部以来、初の全国大会出場(理系、旧帝大クラス)
・野球応援、シミュレーションによる戦術分析(理系、上位私立大)
・積極性を身につけるため、交流の場を広げること(理系、その他私立大)
・産学連携プロジェクトにおいて、1カ月かけてチームでサービスをデザインした(文系、その他私立大)
・長期インターンシップとオンライン留学(文系、中堅私立大)
・論文大会(文系、早慶大クラス)

【コロナ禍で新たに見つけ、取り組めた内容】
・コロナ禍において、マスクやパーティションがあってもより分かりやすい接客に取り組んだ(理系、上位国公立大)
・アプリケーションの作成(理系、その他私立大)
・新型コロナ関連のボランティア経験(理系、早慶大クラス)
・ネットショップを立ち上げ、実際に作品を販売した(文系、その他私立大)
・離島生活(理系、上位国公立大)
・研究室に行けないため、対面での実験ができなくなった代わりに、PCで新しい解析方法を自分で編み出して、別の観点から研究に対するアプローチができた(理系、上位国公立大)
・コロナ禍での学びの不足がきっかけとなり、編入したこと(文系、その他私立大)
・資格取得に取り組んだ(文系、中堅私立大)
・コロナ禍で巣ごもりしている間に筋トレを行った(文系、旧帝大クラス)

【コロナ禍で取り組めなくなった内容】
・学校のスポーツセンターに通って水泳や筋トレをしようと思っていたが、コロナ禍でスポーツセンター自体が開いておらず、そのまま時間がたち、実習やアルバイトなどで忙しくなってしまい、やる機会がなくなってしまった(理系、その他私立大)
・競技かるた。練習はできても、昇級・昇段のための大会は至近距離で、対面で行う競技のため中止となった(文系、その他私立大)
・サークル活動。オリンピックボランティア(文系、中堅私立大)
・海外留学(文系、早慶大クラス)
・サークルに入るタイミングがなかった(理系、その他私立大)
・音楽活動(文系、その他私立大)

【コロナ禍に関係なく取り組めなかった内容】
・ボランティア(理系、上位国公立大)
・サークル活動や課外活動(理系、その他国公立大)
・チームでの開発経験を積みたかった(理系、中堅私立大)
・もともと取り組もうとしていたことがなかった(理系、その他国公立大)
・海外留学(理系、その他国公立大)

文系の早期内定、3月で内定承諾決断は3割

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