内定辞退対策は内定前が大事
次に、「2024年卒採用における課題」について聞いた結果が[図表5]です。全体の数値が10%以上の項目について、その降順で並べています。全体では「ターゲット層の応募者を集めたい」47%、「内定辞退者を減らしたい」33%、「応募者の数を集めたい」30%、「大学との関係を強化したい」26%などが多くなっています。中堅企業では、「採用ホームページをもっとよくしたい」26%(大企業7%、中小企業15%)と「セミナーの内容を魅力的にしたい」23%(大企業11%、中小企業8%)の割合が高いことが目に留まります。内定者が大企業と競合することが少なくない中堅企業にとって、大企業と伍することができるように、ホームページやセミナーをブラッシュアップして、しっかりと情報を届けることで応募者の志望度を高めたいということなのかもしれません。
中小企業では、「内定辞退者を減らしたい」(24%)が他の規模(大企業44%、中堅企業38%)よりも低く、それよりも「大学との関係を強化したい」(28%)のほうが上回っています。「内定辞退」を心配する以前に、まずは応募者を集めることが優先だということなのでしょう。
今度は「2024年新卒採用でより重要になると思われる施策」を見てみましょう。こちらも全体の数値が10%以上の項目について、その降順で並べています。全体では、「自社セミナー・説明会」37%、「自社採用ホームページ」36%が多くなっています[図表6]。
もう一つ注目したいのは、全体で3位に入った「対面型インターンシップ」(25%)です。大企業では、「自社セミナー・説明会」(33%)と並んでトップになっています。インターンシップのもう一つの形式である「オンライン型インターンシップ」は、全体で12%、大企業でも13%にとどまります。開催のしやすさは「オンライン型」ですが、学生へのグリップ力を考えると、面接と同様にインターンシップも「対面型」のほうが望ましいと考えられていると推測されます。
前項で多くの企業が「内定辞退者を減らしたい」を課題として挙げましたが、こちらの「内定者フォロー」は上位ではあるものの全体では21%で、「自社セミナー・説明会」等とはポイントの開きがあります。内定辞退を「内定者フォロー」で低減させようとするのではなく、採用広報や選考段階までのところでより志望度を高め、グリップを効かせることを狙っているものと思われます。それが、「自社セミナー・説明会」であり、「自社採用ホームページ」であり、「対面型」なのでしょう。