3月13日に就職情報会社の学情が発表した、人事担当者対象の「『入社式』に関する企業調査」結果によると、2023年4月入社の入社式について、「リアルで実施」と回答した企業が前年よりも14.0ポイント増の81.2%に上ったとのことです。「リアルで実施」する企業に入社式の規模を確認したところ、「規模を縮小」は8.2%にとどまり、「コロナ前と同じ規模」で実施する企業が91.8%と9割以上に上っています。着実にコロナ前の生活に戻りつつあることをうれしく思います。
大企業では内定充足率90%以上が7割
今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に2023年3月6~21日に実施した「2024年新卒採用動向調査」(2023年卒採用の設問含む)の結果を速報として紹介します。まずは、2024年卒採用の前に「2023年4月入社の内定充足率」を確認します。こちらの集計に当たっては、2023年卒採用を実施しなかった企業は除いています。入社式を数週間後に控えた3月時点での調査ですので、ほぼ最終的な数字に近いかと思われます。
全体では、「100%以上」が33%で最も多く、次いで「90~100%未満」21%が続きます[図表1]。両者を合計した「90%以上」(以下同じ)の割合は54%と半数を超えています。その一方で、「0%」9%、「30%未満」4%、「30~50%未満」6%を合計した採用計画数の「50%未満」(以下同じ)の企業がほぼ2割もあり、採用に非常に苦戦している様子がうかがえます。
一方、「50%未満」の割合は、大企業6%、中堅企業8%に対して、中小企業では32%と3割を超えています。中でも目を引くのは、大企業や中堅企業では1社もなかった「0%」の企業が2割も占めていることです。改めて、中小企業が置かれている厳しい採用環境をうかがい知ることができます。
では、この内定充足率は前年と比べてどうだったのでしょうか。「2023年4月入社の内定充足率の前年比較」の結果を見ると、全体では「ほぼ変化なし」が56%と半数以上を占めます[図表2]。「大きく向上した」と「やや向上した」を合わせた「向上派」(以下同じ)19%に対して、「大きく低下した」と「やや低下した」を合わせた「低下派」(以下同じ)25%と、「低下派」が上回る結果になっています。
コロナ禍からの経済回復基調の中で大卒求人倍率(リクルートワークス研究所)は22年卒の1.50倍から23年卒は1.58倍に上昇し、学生の売り手市場の色合いが強くなっていることをうかがわせます。