対策を取る企業は7割以上、中小企業では5割にとどまる
採用スケジュールの1カ月以上の遅延を予想する企業が7~8割となるなど、採用活動を滞りなく進行することが難しいとみられる中で、これらの影響を考慮した対策を取っている企業の割合を見てみましょう。「対策を取っている」とする企業の割合は42%で、「対策を検討中」が28%、「これから対策を検討」が18%、「対策を取る予定はない」が13%となっており、「対策実施中、検討中」(「対策を取っている」と「対策を検討中」の合計、以下同じ)は70%を占めています[図表4]。
一方で、「対策を取る予定はない」とする割合は企業規模が小さいほど高く、中小企業では16%と2割近い企業が対策を取らないこととしています。中小企業は、採用規模が小さく、採用活動への影響は対策を取るほどのものではないと認識している企業の割合が比較的高いということなのでしょう。
大企業での対策の内容は「採用スケジュールの後ろ倒し」が7割、「オンライン対応」も
「対策実施中、検討中」と答えた企業の対策の内容は、「会場入口に除菌スプレーの設置」が最多で51%、次いで「マスク着用の推奨」が50%、「採用スケジュールの後ろ倒し」が47%となっています[図表5]。また、中堅・中小企業では、「今後の経営状況を注視しながら採用人数を調整する」とする企業がいずれも2割近くに達しています。採用人数の削減は、最悪の場合には採用中止までを視野に入れているものと推測されます。2020年卒採用では、3月に入ってからの内定取り消しが大きな社会問題になっています。厳しい状況が予見される場合は、内々定出しを開始する前に採用中止の決断をすべきであり、採用中止の懸念がある場合には、採用活動スケジュール自体を遅らせることを考える必要があるでしょう。
採用活動への影響を考慮した具体的な対策についての自由記述を、一部抜粋して紹介します。
・学生向けにオンラインでの会社説明会、社員紹介等を新たに実施(1001名以上、メーカー)
・各予定の期限なき延期(1001名以上、メーカー)
・説明会、面接の完全オンライン化(1001名以上、マスコミ・コンサル)
・直接・間接の業績影響を予測し、最良・最悪シナリオを設定して採用人数調整するなど(1001名以上、サービス)
・社外イベントはすべて中止(301~1000名、運輸)
・会社説明、インタビューのオンライン化(1~300名、メーカー)
・マスクと手指消毒スプレーの設置。説明会、選考は少人数制(1~300名、情報・通信)
・1日の説明会参加人数を減らす(1~300名、情報・通信)
・面談から内定、意思決定まで一切お会いせず実施(1~300名、マスコミ・コンサル)
・説明会のWeb動画作成、オンラインによる説明会、面接の実施(1~300名、サービス)