業績と相関の高い人材マネジメントの施策には、以下の6つが挙げられます。
・理念・ビジョンが全社員に浸透、共有されている
・理念・ビジョンと人材マネジメントの方針が揃っている
・意思決定が階層を飛び越えて承認される
・組織をまたいだクロスファンクショナルな仕事が頻繁に発生する
・部門を超えた人事異動が頻繁にある
・知識・情報や成功事例を教えたり聞いたりすることが、日々頻繁に行われている
キーワードは「コミュニケーション」。特に、階層や部署を壁とせず、縦横斜めに意思疎通を図れることが重要だということがわかります。
人材マネジメントの施策の有無別に、働きがいに対して肯定的に答えた人の割合を調査した結果が、以下のグラフです。
1970年代から、ハックマン&オルダムモデルの「仕事のデザイン」の重要性が叫ばれています。このモデルがいう仕事のデザインとは、技能多様性や自律性、フィードバック、仕事の完結性、有意義性を指します。今後は、仕事のデザインを行う際、理念・目的の共有や経営への参画や知の交流といった「コミュニケーションのデザイン」を行うことが、働きがい向上のために必要となるでしょう。理念・目的の共有は有意義性に、経営への参画は自律性に、知の交流は技能多様性、自律性に繋がるものです。
■コールセンターの事例
コールセンターの仕事は、歯車感や孤独感を抱きやすく、ストレスも高い傾向にあります。結果、仕事による満足度を得られにくく、高い離職率に繋がっているのです。このコールセンターの生産性を上げ、離職率を下げた唯一の施策が、チームの休憩時間を揃えることだったという事例があります。
休憩時間を揃えることにより高められたのは、「凝集性」、つまり仲間との信頼構築です。休憩時間を揃えると、その間対応できるスタッフがいなくなるため、デメリットが大きいように思えます。しかし、休憩時間を共にすることで、励ましや孤独感の払しょく、うまくいっていること、いないことの共有が自然と行われるようになるのです。
コールセンターの事例では、生産性が20%向上、離職率が28ポイントダウンする結果が出ています。労働時間の削減を目指しながら、働きがいを高めることは、全体の効率向上にも繋がることなのです。
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