昨年よりも増えている面接活動量
ここからは個別企業のセミナー参加や面接社数について確認してみましょう。まず、個別企業のセミナー参加社数を昨年調査と比較してみます。こちらは昨年の調査と選択肢の区分がやや異なるため、あくまでも参考データとなります。ちなみに昨年の選択肢では、4社以上の区分は、「4~6社」「7~9社」「10~14社」「15~19社」「20社以上」となっており、「10社」や「20社」といったキリのいい社数が一つ上の区分に含まれています[図表6]。次に面接社数について確認してみましょう。こちらも個別企業セミナーへの参加社数データと同様に選択肢にやや差異がありますので、ご了承ください[図表7]。まず気付くのが、どちらも「0社」の学生が減っていることです。文系では49%から43%へと6ポイントの減少、理系では47%から39%へと8ポイントも減少しています。逆にいえば、その分だけすでに面接を受けたことのある学生が増えたということです。そればかりか、「6社以上」の面接を受けた学生で比較してみても、文系では昨年の3%から8%へ、理系でも4%から7%へと増加しています。
二つの大きな流れが影響
こうした変化に関して、考えられる要因は何でしょうか。私は二つの要因があると考えます。一つは、前回の本欄でも取り上げた「インターンシップ」の影響です。インターンシップ参加学生、あるいはその一部の優秀と評価した学生に対して、プレエントリーから始まる就職ステップを求めるのではなく、個別企業セミナーへの参加から、あるいはそれをも省略して面接から進めている企業が少なくないと推測されます。経団連の「採用選考に関する指針」の手引きでは、広報解禁前のインターンシップについては、「産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、…採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある」とされていますが、実際には採用活動に利用されているケースが大半です。また、インターンシップの最低日数の制約が外れたことで1Dayインターンシップが横行し、それが個別企業セミナーの役割を担っているケースも少なくないでしょう。そう考えれば、個別企業セミナーへの参加社数が昨年よりも減少しているにもかかわらず、面接社数は逆に増加していることは不自然ではありません。
もう一つは、ダイレクトソーシングの拡大です。従来の「就職ナビからのプレエントリー→セミナー参加→エントリー(正式応募)→面接」といった流れではなく、逆求人型サイトを利用しての個別オファーや、内定者・社員を活用した紹介制度などでは、大勢の学生を集めてのセミナーではなく、個別対応での面談による動機づけからすぐに面接に移行するケースが多くなります。そのため、それ以前のステップでは現れなかった学生が、「面接」ステップから突然現れることになります。ダイレクトソーシングの利用は、企業・学生ともに年々に増加傾向にあり、従来型の就職・採用ステップごとのデータ比較では追いつかなくなっているといえます。