インターンシップは再び夏期・春期休暇に集中

ここからは、2025年卒採用に向けたインターンシップの動向を見ていきます。まずは、「インターンシップの実施予定」を聞いたところ、全体では「未定」とする企業が35%あるものの、「実施する」(「前年は実施していないが、今年は実施する」と「前年同様に実施する」の合計、以下同じ)は42%と4割を超え、「実施しない」(「前年は実施したが、今年は実施しない」と「前年同様に実施しない」の合計、以下同じ)の24%を大きく上回ります[図表3]
[図表3]2025年卒採用向けインターンシップの実施予定
大企業では、「実施する」は65%なのに対して、「実施しない」はわずか4%にとどまります。「実施する」とする企業は、301~1000名の中堅企業でも50%に達しますが、300名以下の中小企業は30%にとどまっており、「実施しない」企業(31%)と拮抗しています。いずれも「未定」の割合が約3~4割程度あり、「実施する」企業はさらに増えるものと推測されます。

次に、「インターンシップの実施時期」を前年同時期に実施した2024年卒向けの調査結果と比較したものが[図表4]です。「3年生6月以前」から「3年生9月」といった早期は、軒並み2025年卒向けインターンシップを開催する企業の割合のほうが高くなっており、「3年生11月」と「3年生12月」は一転して、2025年卒向けのほうが低くなっています。2024年卒採用では大きく減少した「3年生2月」ですが、再び盛り返しを見せています。ただし、かつてのようにピークである「3年生8月」(62%)と肩を並べるほどではなく、その半分程度に過ぎません。
[図表4]2025年卒採用向けインターンシップの実施時期(複数回答)
一つ注目したいのは、採用広報が解禁となる「3年生3月」は会社説明会が正式にスタートすることもあり、これまでは3月以降にインターンシップを実施する企業はごくわずかでしたが、今回調査では前年の3%から16%へと大きな伸びを見せています。背景にあるのは、2025年卒採用より実施される、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たすインターンシップであれば採用活動に堂々と活用できるという政府三省合意の規定です。実施期間が5日間以上※であることや、その半分の日数を職場での就業体験に充てる必要があること、さらには夏期休暇・冬期休暇・春期休暇等の長期休暇期間中に実施することなどが条件になっています。

※タイプ3・汎用的能力活用型:5日間以上、専門能力活用型:2週間以上

冬期休暇は年末年始を挟むため、実質的には要件を満たすインターンシップの実施は困難であり、結果的に夏期休暇と春期休暇に集中することになります。それが8~9月と2~3月の実施割合の増加につながっているものと推測されます。

「産学協働による自律的キャリア形成の推進」は機能するのか

今度は、「インターンシップの日数タイプ」を前年調査と比較してみましょう。「半日程度」と「1カ月以上」は前年と同程度の割合ですが、残りすべての日数タイプで今回調査のほうの割合が高くなっています[図表5]
[図表5]2025年卒採用向けインターンシップの日数タイプ(複数回答)
特に、前述した「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件に当たる「5日間以上(1週間程度)」は、前年の22%から32%へと10ポイントも上昇しています。「1週間程度」と回答した割合を、従業員規模別に前回調査と比較してみると、中堅企業26%→27%、中小企業25%→30%と微増にとどまるのに対して、大企業は10%→40%へと大幅に増加しています。これが全体の数字を引き上げた要因です。

大企業に注目して、その他のタイプも確認してみると、「半日程度」と「1カ月以上」はほぼ前年と変わらず、「1日程度」が52%→22%へと大幅に減少し、その分、「2~3日程度」24%→30%、「2週間程度」14%→17%、「3週間~1カ月程度」0%→7%へといずれも増加しています。1Dayから複数日程タイプへのシフトが進んでいる様子がうかがえます。

次に、「1週間程度」を選択した企業を対象に、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たすタイプ3のインターンシップを実施する予定かを確認したところ、全体では「検討中」が43%で最多で、次いで「計画していない」32%、「計画している」は25%で割合としては最も低くなったものの、4社に1社は「計画している」ことが分かります[図表6]。前項までに推察していたように、インターンシップを取り巻く今年の変化には、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」への対応が大きく影響しているようです。
[図表6]「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たすインターンシップの実施
従業員規模別では、「計画している」と回答した割合は、大企業33%、中堅企業25%、中小企業19%と、規模が大きいほど要件に沿ったインターンシップの実施を計画していることが分かります。ただ、「計画していない」と明言している割合は中堅企業が13%と突出して低く、「検討中」の企業が6割を超えることから、最終的には大企業を超える割合の企業が、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たすインターンシップを実施する可能性もあります。

これまでも、実際には多くの企業がインターンシップを採用手法の一つとして活用してきており、果たして「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たすことによる“お墨付き”に対して、企業がどこまでこの新しい仕組みを活用するのかと懐疑的になっていた面もありますが、意外にも変化が表れてきているようです。

対面型への揺り戻しが続くインターンシップ

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