大企業の2割が親対策を実施
ここからは2020年および2021年新卒採用・就職活動の最新動向に焦点を当て、HR総研が3月18~27日にかけて企業の採用担当者を対象として実施した「2020年新卒採用動向調査」と、3月18~25日にかけて2020年卒業予定の大学生(「楽天みん就」会員)を対象として実施した「2020年就職活動状況調査」の結果を併せて紹介します。まずは、「2020年新卒採用動向調査」の中から、「親対策」について取り上げます。近年、就職活動への親の関与度は年々高まりを見せており、入学年次から新入生の親を対象としたキャリアセンター主催の就職ガイダンスを開催する大学も増えています。いまの大学生の親の中には、バブル期に就職活動を経験した人も多いため、当時とでは就職を取り巻く環境がまったく異なっていることを早くから理解してもらうとともに、就活へのサポートを依頼する内容になっているようです。
また、内定辞退の理由として、「親の反対」を挙げる学生が目につくようになっていることから、企業の中には学生本人だけでなく、その親を対象とした施策を実施する企業があります。2020年卒採用での実施状況を聞いたところ、全体では14%の企業が「実施している」と回答していますが、企業規模別で見てみると、中堅企業の10%、中小企業の14%に対して、大企業では19%と最も多くなっています。[図表1]親対策というと、知名度の低い中小企業が熱心に実施しているイメージがあるかと思いますが、実際には大企業の実施率のほうが高くなっているのです。
「インターンシップ実施せず」を決めている企業は2割強
次に、2021年卒採用を視野に入れたインターンシップについて見ていきましょう。まずは、インターンシップの実施予定を聞いてみたところ、大企業の73%、中堅企業の60%、中小企業でも43%が「実施する予定」と回答しています[図表2]。次に、インターンシップの実施時期について見てみましょう[図表3]。例年、早期の調査では「8月」がトップになることがほとんどですが、今回の調査ではこの段階ですでに「2月」が61%でトップとなっています。中堅企業に至っては、全体よりも14ポイントも高い75%が「2月」に実施すると回答しています。
一方、中小企業は全体の傾向と近い傾向を示していますが、「9月」については全体よりも11ポイントも高い49%もの企業が実施を予定するなど、時期を問わず積極的な姿勢が伺えます。
注目すべきは、「12月」に実施予定としている企業が、規模を問わず4割近くあることです。早期でもなく、「1~2月」より少しだけ早めに実施したいという企業の思惑が現れています。それともう一つ、大企業では「7月」に実施する企業が24%と、4社に1社の割合にまで高まっていることも見逃してはなりません。多くの企業のサマーインターンシップが集中する「8~9月」に先駆けて実施することで、競合企業が少なく、優秀な学生をより受け入れやすくしようと考えているようです。