内定者フォローよりもインターンシップ重視の大企業
今回初めて、施策区分別に見た採用予算の状況について聞いてみました。こちらで採用予算を「インターンシップ」「母集団形成(ナビ、合説等)」「広報物(採用HP、パンフ等)」「自社セミナー・リクルーター」「選考(検査、ES判定、面接等)」「内定者フォロー」「アウトソーシング・その他」の7区分に分けて、金額規模の上位3項目を選んでもらったところ、いまでも「母集団形成(ナビ、合説等)」のための予算を挙げた企業が最も多く、すべての企業規模が7割前後で並びました。次いで多かったのは、「広報物(採用HP、パンフ等)」でしたが、こちらは大企業の56%に対して、中小企業は36%と開きがあります。中小企業では、それよりも「選考(検査、ES判定、面接等)」のほうが38%で高くなっています。「増やす」企業は昨年よりも大幅に減少
ここからは2020年新卒採用についての調査結果をご紹介します。まず、採用計画数の対前年比を聞いたところ、「未定」とする企業はあるものの、すべての企業規模で今年も「増やす」が「減らす」を上回る結果となりました。帝国データバンク「TDB景気動向調査」(2019年3月調査)では、「国内景気は4カ月連続で悪化」「12業種すべての景気DIが50を下回る(製造業)」とした上で、「国内景気は、製造業の悪化やコスト負担増などがマイナス材料となり、一部で後退局面に入った可能性がある」と結論づけているように、不透明感は一層強まっています。景気動向は採用計画にすぐに反映されるので、今後の動向に注目する必要がありそうです。
「インターンシップ」と「自社セミナー」がより重要に
次に、2020年新卒採用において、より重要になると思われる施策を聞いたところ、トップは「インターンシップ」で44%、次いで「自社セミナー・説明会」が42%で続きました。年々、インターンシップを契機にした早期化に拍車がかかっており、3月からの「学内企業セミナー」や「就職ナビ主催の合同企業セミナー」ではもはや遅く、学生集客に苦労しているケースが多くなっているようです。そのため、大学でも2月までに「企業(業界研究)セミナー」や「OB/OG懇談会」を開催して、学生がリアルに企業と接点を持てる機会を創出するようになってきています。
もう一つの注目点として、「逆求人(オファー型)サイト」(18%)と「リファラル採用」(15%)の躍進があります。今回の調査では、ついに「逆求人(オファー型)サイト」が「就職ナビ」(16%)を逆転しています。ただ、これは従来からの「就職ナビ」よりも「逆求人(オファー型)サイト」が活用されるということではなく、あくまでも対前年で考えた場合に、「より重要になる」ということです。「リファラル採用」が「就職ナビ主催の合同企業セミナー」(13%)よりも上位となっているのも同様です。2020年新卒採用から新しく始めることを具体的に記入してもらったところ、「インターンシップの強化」「オファー型採用」「ダイレクトリクルーティング」「LINE」といったコメントが寄せられています。