3月1日にはもう第1ラウンドが終了

上記で見たように、表向きは2020年卒向けの企業・採用情報を公開と同時に、プレエントリーを開始していますが、その企業・採用情報を見て関心を持った学生がプレエントリーするというかつてのような手順はもう幻想になっています。公開前にプレエントリーする企業をすでに決めており、就職ナビがオープンしたら掲載されている企業・採用情報を見ることもなく、プレエントリーをしているわけです。もちろん、これから新しい企業を見つけることもあるでしょうが、第1ラウンドは、就職ナビがグランドオープンする前に終わっていると言っていいでしょう。いかに、2月までに自社の存在を知らしめ、興味を持ってもらえるかが大事になってきたということです。

定番となったインターンシップはもちろんですが、WEB上での情報公開も早いに越したことはありません。経団連傘下の企業は、2020年卒向けの募集要項の公開やプレエントリーの受付を3月1日まで規制されていましたが、WEB上で自社の業務内容や仕事内容、各種制度、行事の紹介などを掲載することについては、一年を通して時期の規制は一切ありません。つまり、年中公開していても構わないわけです。かつては、「○○年新卒採用向け採用ホームページ」として、就職ナビのグランドオープンに合わせて公開する、あるいは前年度のものと差し替えることが通例でしたが、もはやそんな必要はありません。3月に入り、2020年卒向けの採用活動が本格スタートしたと述べましたが、実は2021年卒採用もすでに始まっていると思ったほうがよいでしょう。6月1日の2021年卒向け就職ナビのプレオープンが2021年卒採用のスタートではなく、意識の早い学生はすでに企業を選別し始めています。WEB上での業務内容や仕事内容等の情報公開は、「○○年卒向け」と区別することなく、通年でいつでも見られるようにして、随時更新するのがよいでしょう。

「100人未満」の中小企業を除いて、掲載社数がきっ抗する2強

次は、就職ナビ2強の今年の掲載企業の状況を見てみましょう。2020年卒向けの就職ナビの掲載社数は、2019年3月3日時点のものになります。

掲載総数では、『リクナビ2020』は昨年の3月1日時点と比べてみると、3万154社から3万1490社へと1300社以上も伸ばしています。一方の『マイナビ2020』も2万2610社から2万4008社へと、こちらも1400社近くも伸ばしています。ただ、一昨年(2018年卒向け)から昨年(2019年卒向け)にかけては、双方とも約2600~2700社も掲載社数を伸ばしたことを考えると、今回の伸びは半分ほどにとどまっています。ただ、興味深いのは、毎年二つの就職ナビが似たような社数の伸びになっている点ですね。

まずは、掲載企業を従業員規模別で見てみましょう[図表1]。総数では、『リクナビ2020』のほうが約7500社も上回っていますが、「3000人以上」「1000~3000人未満」「500~1000人未満」の掲載企業数はものの見事にきっ抗しており、100社以上の社数差がある従業員数区分はありません。「100~500人未満」では500社近い差がありますが、掲載社数の差は圧倒的に「100人未満」の従業員数区分になります。ここだけで7000社も『リクナビ2020』のほうが多くなっています。
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全掲載企業に占める「100人未満」の企業の割合は、『マイナビ2020』の35.2%に対して、『リクナビ2020』は49.4%、つまり半数にも及びます。今年も掲載料金無料の『リクナビダイレクト2020』からの転載オプションによる社数がかなりの割合を占めているようです。「100人未満」の企業1万5553社のうち、検索結果ページから推測するに、優に1万社以上が『リクナビダイレクト2020』からの転載情報のようです。そう考えると、純粋な掲載企業数は『マイナビ2020』のほうが多いということになりますね。

ブロック別の掲載社数バランスもほぼ同じ

次に、本社所在地別の掲載企業数を比較してみましょう[図表2]。『リクナビ2020』の内訳は、「北海道・東北」2467社、「関東」1万4691社、「北陸・甲信越」2381社、「東海」4119社、「近畿」5197社、「中国・四国」3115社、「九州・沖縄」2793社。一方の『マイナビ2020』の内訳では、「北海道・東北」1773社、「関東」1万1117社、「北陸・甲信越」1740社、「東海」2836社、「近畿」4041社、「中国・四国」1816社、「九州・沖縄」1728社、さらに「海外」21社となっています。「海外」を除き、すべてのブロックで『リクナビ2020』の掲載企業数が『マイナビ2020』を上回っています。
第96回 就職ナビは専用アプリを活用、大手企業はAIチャットやWEB面談など新しい試み
全体の掲載企業数に占める各ブロックの割合を見てみると、両サイトでほぼ似たような割合になっていますが、「東海」「中国・四国」「九州・沖縄」の企業の割合については、『リクナビ2020』のほうが少々多くなっているようです。

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