大手企業志向はさらに強く
次に、志望する企業規模を昨年のデータと比較してみましょう。「絶対大手企業」と「できれば大手企業」を合わせて「大手企業志向」の割合とすると、文系では昨年の55%から58%へ、理系では昨年の59%から64%へと伸びています[図表3]。特に理系では、「絶対大手企業」とする学生の割合が11%から15%へと4ポイントも伸びています。学生の売り手市場が報じられるほど、大手企業志向は強くなると言われていますが、今年も例にもれずその傾向が出ています。就職環境が厳しい年には、「大手企業とかぜいたく言う前に、まずは就職すること」という意識が働くのに対して、売り手市場だと言われてしまうと、「入れる可能性があるのなら大手企業へ」との思いが強くなってしまうのです。リクルートワークス研究所から毎年発表される大卒求人倍率が、今年も4月中に発表されると思われます。企業側の求人意欲は依然として高く、HR総研の調査でも「増やす」企業が全体の30%なのに対して、「減らす」企業は5%に過ぎません。すでに採用の増員計画を発表する大手企業が続いており、求人倍率は昨年の1.74倍よりもさらに高い数字が発表される可能性が高いでしょう。学生の目は大手企業や人気企業へ集中し、B to B企業や中小企業、毎年苦戦する外食産業や流通業などにとっては、昨年以上に厳しい採用戦線になるものと思われます。
ブラック企業のイメージは「残業代の未払い」がトップ
電通の新入社員過労自殺事件をきっかけに、これまで優良企業で通っていたような企業にもブラック企業体質が存在することが明らかとなり、就職活動における学生の「ブラック企業」への関心度はこれまで以上に高くなっています。ブラック企業に対する認識(ブラック企業だと思う特徴)を聞いた結果が[図表4]です。2位は前述のように「パワーハラスメントが多い」。電通事件では、残業時間の多さだけでなく、上司によるパワハラの存在もブラック企業体質とされたわけですから、学生にとってはまさにブラック企業ということになります。電通は採用活動においてもかなりのハンディを負うことになったと言えます。
3位の「離職者が多い」(63%)に次いで、4位には「ペナルティがある」(57%)が入っています。一部のコンビニチェーンで横行している、クリスマスケーキや恵方巻などのキャンペーン商品に対するノルマ、ノルマを達成できなかった場合の自腹での商品購入などをペナルティととらえ、アルバイトを通じて身近に感じている不条理なのでしょう。