HR総研では、多様な働き方の実態について例年調査を実施しており、今年は4月に「多様な働き方実施状況に関するアンケート」を実施した。
人生100年時代や超少子高齢化が進行する日本社会において、「高齢者活躍推進」や「障がい者雇用」などによる、多様な人材が活躍できる社会の創出が喫緊の課題となっている。
前回の「女性活躍推進」「外国人採用」に引き続き、「高齢者活躍推進」や「障がい者雇用」に関する多様な働き方の実態について、以下に、フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●高齢者活躍推進に向けた措置、「65歳までの継続雇用制度を導入」が主流
●継続雇用後の給与条件、特に大企業で厳しい傾向
●得られる効果「熟練した技術や知見を獲得できる」が最多
●低迷するキャリアプランニング研修実施率、対象者は「50代」が7割
●高齢者活躍支援推進に必要な対策、各社独自の取組み事例
●「70歳までの就業機会の確保」への対応措置は2割未満
●「障がい者の法定雇用率引き上げ」に対する認知度は8割
●障がい者雇用は「法的義務への対応」が大半の現状
●「障がい者の働き方の多様化」は厳しい現状

高齢者活躍推進に向けた措置、「65歳までの継続雇用制度を導入」が主流

高齢者活躍推進に向けた措置について見てみると、「65歳までの継続雇用制度を導入」がいずれの企業規模においても圧倒的に多く、従業員数1,001名以上の大企業では72%、301~1,000名の中堅企業では77%、300名以下の中小企業では66%となっている。それに対して「65歳まで定年年齢を引き上げ」は、最も多い大企業でも13%と、非常に消極的な傾向となっている(図表1-1)。

【図表1-1】企業規模別 「高齢者活躍推進」に向けた措置

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

では、大半の企業が導入する「65歳までの継続雇用制度を導入」によって、「勤務形態や条件」は、継続雇用前後でどのように変更されるのだろうか。
「変更される勤務形態や条件」としては「雇用形態が変更される」が最も多く80%で、正社員から嘱託や契約社員などに変更されることとなっている。
次いで5ポイント差で「給与が変更される」が75%で、雇用形態が正社員から変更されることに伴い、給与も変更(低下)されるのが主流となっている(図表1-2)。

【図表1-2】継続雇用後に変更される「勤務形態や条件」

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

継続雇用後の給与条件、特に大企業で厳しい傾向

継続雇用後に給与が変更される割合を、定年前の給与と比較してみると、企業規模が大きいほど「80%未満」(「70~80%未満」以下の合計)が多く、大企業では96%とほぼすべての企業となっている。さらに「60%未満」(「50~60%未満」以下の合計)を企業規模で比較すると、大企業では28%、中堅企業では22%、中小企業では8%となり、大企業では特に継続雇用後の給与条件が厳しくなる傾向にあることが分かる(図表2-1)。
また、定年後に継続雇用される社員の割合については、「100%」とする企業の割合を企業規模で比較すると、大企業では6%、中堅企業では7%、中小企業では35%となり、中小企業で特に高い傾向が見られる。この傾向の要因として、対象となる社員の人数が少ないことだけでなく、中小企業では給与の下げ幅が比較的低い傾向にあることも、少なからず影響しているだろう(図表2-2)。

【図表2-1】企業規模別 給与が変更される割合(定年前の給与との比較)

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

【図表2-2】企業規模別 定年到達者に対する実際の継続雇用の割合

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

得られる効果「熟練した技術や知見を獲得できる」が最多

企業が高齢者活躍推進をすることによって得られる効果としては、「熟練した技術や知見を獲得できる」がいずれの企業規模でも最多となり、企業規模大きい方から順に56%、55%、55%(小数点以下四捨五入)で、いずれも過半数となっている。これに次いで「人手不足を補うことができる」がいずれの企業規模でも挙がっているが、中小企業で特に多く45%に上っており、常に人材確保が課題となっている中小企業で特徴的な効果となっている(図表3-1)。

一方、高齢者活躍推進に関わる課題としては、「高齢者のモチベーションの維持」がいずれの企業規模でも最多となり、大企業から順に54%、49%、44%と半数前後に上っている。これに次いで大企業では「高齢者が対応できる業務の確保」が41%と、大企業において継続雇用後での立場が急激に変化した高齢者が、担当できる業務を確保するのは容易ではないのだろう。また、中堅企業では「世代交代の停滞」が47%となっており、高齢者を継続雇用することにより若い世代の活躍機会の喪失に繋がりかねないと捉える企業も少なくないようだ(図表3-2)。

【図表3-1】企業規模別 高齢者活躍推進で得られる効果

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

【図表3-2】企業規模別 高齢者活躍推進に関する課題

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者活躍推進、障がい者雇用】

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に、特典資料をプレゼント!

HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】多様な働き方実施状況に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年4月14日~20日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、担当者
有効回答:202件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

  • 1