<概要>
●女性管理職の割合、大企業では約6割で「増加」
●女性活躍推進に向けた課題、「ロールモデルの欠如」が最多で4割
●多様な価値観を持つ人材の活用、課題は「現場管理職の意識」が最多で4割
●多様な属性・専門分野の人材を活用する方針がある企業とない企業で経営上の成果の実感値にも差異
女性管理職の割合、大企業では約6割で「増加」
次に、女性の活躍推進への方針や取り組み状況について見ていく。
まず、女性管理職の割合について企業規模別に見ると、大企業では「10%未満」が66%となっているのに対し、中堅企業では「10%未満」が76%、中小企業では78%となっており、中堅・中小企業では大企業と比べてやや女性管理職の割合が低いことが分かる。特に中小企業では「0%(管理職は男性のみ)」という企業が31%に上っているなど、管理職への女性登用がまだ少ない現状がうかがえる(図表1-1)。
【図表1-1】企業規模別 女性管理職の割合
直近3年での「女性管理職の割合の増減」についても、企業規模別に見ていく。大企業では「増えた」が63%、「変わらない」が36%、「減った」が1%となっており、6割以上の企業で女性管理職の割合が増加している。中堅企業では「増えた」は41%、中小企業では20%となっており、企業規模が大きいほど女性管理職の割合も増加傾向にあることが分かる(図表1-2)。これは、そもそもの管理職ポストの絶対数が大企業の方が多く、中堅・中小企業よりも女性の管理職登用が進みやすいという要因もあるが、女性活躍のための施策の取り組み状況による差異もありそうだ。
大企業では、「人的資本の情報開示」における「多様性」に関する情報開示を進める企業も比較的多く、その中で「女性の管理職登用率」にも触れている企業も少なくないだろう。今後、有価証券報告書等における人的資本の情報開示が義務化されていくことを踏まえると、ダイバーシティ推進の一つとして「女性の管理職登用率」のさらなる増加も見込まれる。
【図表1-2】企業規模別 女性管理職の割合の増減
女性活躍推進に向けた課題、「ロールモデルの欠如」が最多で4割
次に、女性活躍推進の施策の実施状況について見ていく。
企業規模別に見ると、大企業では、女性活躍推進・女性登用に向けた施策を「実施している」が78%と8割近くに上っているが、中堅企業では「実施している」は48%と半数以下となっており、中小企業では29%と3割を下回っている(図表2-1)。やはり、女性活躍推進施策の取り組み状況についても、企業規模によってかなり乖離があることが分かる。
【図表2-1】企業規模別 女性活躍推進・女性登用に向けた施策の実施有無
事業方針別にも見てみよう。ここでは、「イノベーションを重視する」という方針と、「堅実な改善活動を重視する」という方針のどちらにより近いかという観点で企業を分け、それぞれの女性活躍推進に関する取り組み方針を見ていく。
「イノベーションを重視する」と回答した企業では、「実施している」が67%と7割近くに上っているのに対し、「堅実な改善活動を重視」と回答した企業では「実施している」は39%と、イノベーション重視の企業よりも28ポイントも低い結果となっている。イノベーション重視の事業方針をとっている企業ほど、女性活躍推進の取り組みにも積極的であることが分かる(図表2-2)。
【図表2-2】事業方針別 女性活躍推進・女性登用に向けた施策の実施有無
「女性活躍推進・女性登用に向けて実施している施策」については、「産休・育休からの復帰支援」と「柔軟な働き方に向けた制度の実施」がともに最多で50%、次いで「女性管理職比率の数値目標設定」が46%などとなっている(図表2-3)。
【図表2-3】女性活躍推進・女性登用に向けて実施している施策
「女性活躍推進・女性登用に向けた課題」については、「女性ロールモデルの欠如」が最多で36%、次いで「女性の意識・就労観」が31%、「風土・社風」が27%などとなっている。現状、女性の管理職が男性に比べて少なく、どのように自身のキャリアを描けばよいかというモデルが無く、イメージしづらいという現状もうかがえる。また、「女性の意識・就労観」が課題の上位となっているが、これは当然「社風・風土」や「上司の意識」等、周囲の環境によって形成されるものでもあるため、女性社員自身へのアプローチ以外も重要になってくるだろう(図表2-4)。
【図表2-4】女性活躍推進・女性登用に向けた課題
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「ダイバーシティ経営」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年6月27~7月4日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:213件
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