Vol.01
「NEXT HR」特別パネルディスカッション 講演録
次世代の人事、人事サービスの進化と未来(後編)
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター 北崎 茂氏
日産自動車株式会社 人事本部 日本人事企画部 担当部長 福武 基裕氏
株式会社日立製作所 ICT事業統括本部 人事総務本部 人財企画部 主任 中村 亮一氏
モデレーター:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介
人事サービス会社にこれからの企業の人事は何を求めるのか
寺澤ここまでの話を踏まえて、今後、短期的ではなく、もっと先を見据えた時のHRについて、どんな変化があり得るのか、デジタルHRの話も先ほど出ましたが、福武さん、中村さんにお考えをお聞きしたいと思います。
福武次の人事の中期計画では、今、北崎さんが話されたようなことをもう少し取り入れて考えていく必要があると社内で論議しているところです。ただ、それらは、我々HRの組織能力を上げ、HRの人間のケイパビリティを上げるということや、ご指摘があったような投資の仕方を劇的に変えるということなしには絶対に実現できないと考えています。今後、そうした大きな変化が起きるでしょうし、相当なスピード感をもって起こさなければならないという危機感を持っています。
中村政府が2020年頃までに名目GDPを600兆円に増やすという目標を掲げていますが、ある調査では移民を受け入れずに日本人だけでやっていく場合、生産性を4倍まで高めないと達成できないのではないかと言われています。そういう中で、デジタルHRといったものが活用されていくのだろうと思います。また、中長期的なHRの問題で大きいのは、2030年前後にバブル世代の方たちが一斉に退職される、あるいはシニア層になっていくことで、その時の世界を描きながら、どういう会社の組織を我々がつくらなければならないのかを、今、考える必要があると感じています。
寺澤企業がこれからの人事のあり方を考えていく時、いろいろな課題があるということですが、その中で、人事サービス会社に対して何を求めるのかを最後にお聞きしたいと思います。中村さん、福武さん、お願いします。
中村今までは、例えば、教育サービスなら「教育だからすぐに効果は出ませんよね」ということで通じていたのが、今後はそれでは難しくなって、それをどうやってKPIとしてつくっていくかといったことが必要になると思います。これからはどんなデータでも分析できますから、人事側のリテラシーが上がってきます。ご提案をいただく際、これまで以上に具体的な数値を求められる可能性が増えてくるのではと。そういったところも皆さんと一緒に考えながら、HRのレベルをもう一段上げていければと思っています。
福武同感です。もう一つ加えると、我々の現状として、同じ人事の領域でも、各COEやRegionがそれぞれのイニシアチブで、別々にいろいろな人事サービス会社のサポートを得ている、要はより有機的なアライメントが不十分なケースがあります。でも、HRとしてビジネスのソリューションを出していくためには、人事の領域での枠組みを越え、統合された価値を提供しなければなりません。また、今後の働き方改革においては生産性向上が鍵となりますが、HRファンクションだけでは難しいと思います。ですから、人事部門の枠を越えたソリューションのご提案、あるいは会社を越えたようなご提案など、我々の視点をぐっと開いていくようなソリューションを一緒に論議できるとありがたいですね。
寺澤人事サービス会社として、北崎さん、いかがですか。
北崎今お二人がお話しされたことは全くその通りで、お応えしていきたいと思います。我々コンサルティングファームも、これまで、やはり目の前のお客様を見て、そのお客様のためにという一社視点の感覚が強かったのですが、同時に産業全体や国全体という形での視点を広げていく必要が今後さらに強まるでしょう。我々、人事サービス会社の間で情報共有などを進めて、情報の垣根を外していけるようにすれば、よりそういったオープンなシチュエーションが生まれるのではないかとも思います。いずれにしても、できる限り、我々として情報発信はしていきたいですね。
寺澤では、岩本先生、まとめということで一言お願いします。
岩本私が最近、広義のテクノロジーを活用している日本の人事サービス会社をリストアップしてみたところ、ローテク、ハイテクといろいろありますが、90社ほどありました。その中から、先ほど話が出たワークデイのようなメガベンチャーや、大企業ならメガビジネスですね、そういう企業が日本でも生まれてきてほしいと思っています。マーケットの拡大に向けて、今日お集まりの人事業界の皆さんの中からメガベンチャー、メガビジネスが出てくることを期待しています。
寺澤非常に変化が激しいビジネス環境の中で、人事がビジネスに貢献するためには、変化が激しい中でも、先を見越していろいろな手を打っていく必要があります。その一つとして、テクノロジーは極めて重要なキーになると考えています。今後、企業の方々には積極的にこの分野に投資していただきたいですし、人事サービス会社側からも、これは使えるというサービスがどんどん出てくればと思います。
今日はありがとうございました。
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