Vol.01

「NEXT HR」特別パネルディスカッション 講演録

次世代の人事、人事サービスの進化と未来(前編)

慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(KBS) 特任教授 岩本 隆氏
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター 北崎 茂氏
日産自動車株式会社 人事本部 日本人事企画部 担当部長 福武 基裕氏
株式会社日立製作所 ICT事業統括本部 人事総務本部 人財企画部 主任 中村 亮一氏
モデレーター:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

人事全体としてデジタルHRを推進していく重要性

寺澤ここからはトークセッションに移ります。まず、日産自動車、日立製作所の取り組みについて、北崎さん、岩本先生からコメント、質問などお願いします。

北崎日産自動車の大きな特徴は、やはりルノーとアライアンスを組まれていることだと思います。それゆえのコンフリクトであるとか、逆に得られていることなど、貴重な経験をシェアしていただけますか?

福武日産自動車はルノーとアライアンスして17年になります。開発、生産、購買などの分野で機能を統合してきて、2015年からはさらに統合を進めようという第2フェーズに入り、HRもその一部になりました。今、我々のHRのトップはルノーの副社長で、フランス人女性です。人事の中でもアライアンスしているのはタレントマネジメント、ラーニング&ディベロップメントなど4つの領域で、各領域のトップは日産の人間だったりルノーの人間だったりという形です。当然、文化も、仕組みも、考え方も違いますから、最初は大変です。効果が出ず、苦しい時期もありますが、時間が経つと共通言語ができたり、アライアンスのシナジーが得られるようになってきます。例えば、タレントマネジメントの領域では、人財に対して、各社では提供できなかった新たなキャリアのオポチュニティを提供できたり、そういうポストに両社で最も適した人材を配置できるといったメリットもあります。

岩本日立製作所の取り組みについて中村さんにお聞きしたいのですが、ピープルアナリティクス部門というのは、どういう機能、組織にしていかれるのですか?

中村基本的な機能としては、これまでやってきたことを進めていく部分に加えて、日立には人事に関わるようなシステムが数多くありますので、そういったものを社内でどんどん使って、実証データをWEBやパンフレットなどで提供していこうと。アナリティクスのマイスターも置いて、そういう実証実験を社内で行っていく仕組みをつくろうとしています。

寺澤デジタルHRを推進していくことの重要性や課題について、福武さんはどうお考えですか。

福武デジタルHRについては、先ほどお話しした次の人事の中期計画で、ファウンデーションと位置付けています。これからの人事はデジタル対応抜きではバリューを出せないという考えです。クラウド型人事ソリューションシステムをグローバルに導入し、2013年の南アフリカを皮切りに、米国、日本、欧州、オセアニア、アジアなどで順次進めてきましたが、その活用とDigital HR ISの組織づくりなどはまだまだこれからというのが現状です。

寺澤人事全体の方向性としてデジタルHRということを打ち出されていると。日立さんでは、そのあたりはどうなのでしょうか?

中村当社でも、人事の大きな方針の中に、これからはデータオリエンテッドで行くべきだということは含まれていますね。

寺澤なるほど。ありがとうございます。
世界の中長期的な将来予測と、人事はどう変わるべきか、テクノロジーの進化がそれにどう絡むか。PwCコンサルティング合同会社・北崎氏、慶應義塾大学大学院・岩本氏のお話しは後編で展開されます。