「ロイヤルティ」(Loyalty)は、忠誠、忠義、忠実、誠実、愛情、愛着などの意味の言葉です。ビジネス分野では愛社精神、会社への帰属意識、忠誠心などの意味で用いられます。

かつての日本企業は、従業員の愛社精神や帰属意識、忠誠心の高さが強みになっていました。それらにより生み出されるチームワークや団結力が競争力の源となり、業績の向上につながっていたのです。もっとも、サービス残業など長時間労働を生む温床にもなっていたわけですが……。

従業員の愛社精神や帰属意識、忠誠心を支えていたのは、終身雇用や年功序列賃金などの、いわゆる日本的な雇用慣行です。会社が一生面倒をみてくれるのだから、お返しに滅私奉公の精神で働くのが当然という考え方です。

バブル崩壊以来の低成長下で、企業は派遣スタッフなどの非正規社員の積極的な活用、成果主義の給与体系への変更などを行ってきました。

これらは国際化の進展、少子高齢化・人口減少社会の到来など、経営環境が厳しさを増すなか、競争力を維持するためにはやむを得ないこととはいえ、結果として愛社精神や帰属意識、忠誠心の源になっていた日本的な雇用慣行を捨て去ってきたわけです。

このような状態で、従来のような愛社精神や帰属意識、忠誠心を社員に持たせようとするのはいくらか無理があります。実際、若者を中心にそういったものに対する違和感や抵抗感を覚える人が増えています。

しかし、人材不足は今後ますます深刻化することが予想されます。愛社精神や帰属意識、忠誠心の高い人ほど辞めにくい傾向がありますが、今後は従業員に、いかにそれらを持たせるかが、重要な経営課題となっていくことでしょう。