4割以上の管理職が「即時フィードバック」で部下の成長を実感
「人材定着」や「人材育成」といったマネジメントの取り組みは、年々その難易度が増しており、多くの管理職にとって悩みとなっている。部下の成長を願ってフィードバックを行う際に、管理職はどのような工夫をしているのだろうか。はじめにラーニングエージェンシーは、「フィードバック後の部下の行動について悩んでいること」を尋ねた。すると、上位には「自分の課題を認識してはいるが、すぐに行動につながらない」、「質問や反論はないが、自分の課題を認識してもらえないことが多い」、「フィードバックを反映した行動はできているが、成果につながらない」といった回答があったという。そこで同社は、管理職の感じる「部下の成長度合い」とフィードバックの頻度・手法・内容との関係性を調査した。
まず、「部下にどれくらいの頻度でフィードバックをしているか」を尋ねると、部下が「非常に成長している」と回答した管理職のうち、44.4%が「即時にフィードバックをしている」ことがわかった。一方で、部下が「成長していない」と感じている管理職における「即時にフィードバックしている」割合は14.3%と、「非常に成長している」と感じている管理職より30.1ポイントも低くなっていた。部下の成長には「即時フィードバック」が有効だと推察できる。
また、フィードバックの頻度を「特に決めていない」とした管理職の回答に着目すると、部下が「成長していない」(28.6%)、「わからない」(34.5%)とする割合が高く、「非常に成長している」(22.2%)、「成長している」(21.9%)との回答率よりも高くなっている。
部下の成長を実感する管理職ほど「チャット/メール」でのコミュニケーションを活用
続いて、同社が「フィードバックの伝達方法」を尋ねると、「対面で、口頭伝達している」が8割を超えて最多だったという。そこで、「フィードバックの伝達方法」を部下の成長度合い別で比較したところ、「非常に成長している」とした管理職の94.4%が「対面で、口頭伝達している」ことがわかった。部下の成長を実感できている管理職ほど、この割合は高い傾向にあるようだ。
また、「非常に成長している」とした管理職の61.1%が、「チャットやメールなどで文書伝達している」と回答しており、この割合は「成長していない」とした管理職よりも46.8ポイント高かった。これを受け同社は、「『非常に成長している』と実感する管理職は、前設問で『即時フィードバック』する割合が高かったことから、チャットやメールを使用してでも即時にフィードバックすることを意識している傾向があるのではないか」との見解を示している。
部下の成長を実感する管理職の6割以上が意識していることは?
続いて同社は、部下の成長度合い別に「フィードバックをするときに気を付けていること」をまとめた。すると、部下が「非常に成長している」と感じている管理職は、「部下の意見を傾聴すること」、「部下の納得感を醸成すること」がいずれも61.1%で、6割以上の管理職が意識していることがわかった。対して、「成長していない」とした管理職では、「部下の意見を傾聴すること」が14.3%、「部下の納得感を醸成すること」が0%と、管理職の意識に大きな差が見られた。
部下の成長を促す管理職は「意図」や「目的」とともに伝達か
最後に同社は、「フィードバックで心がけていること」を質問し、部下の成長度合い別に比較した。すると、「事実や結果に基づく具体的な内容」が、部下の成長実感にかかわらずに高いことが明らかとなった。また、部下が「非常に成長している」と実感する管理職においては、「事実や結果に基づく具体的な内容」(72.2%)との回答が最も多く、以下は「フィードバックの意図や理由」(66.7%)、「目的・目標や求める人材像」(55.6%)、「日頃の感謝や努力へのねぎらい」(50%)の順に多いことがわかった。