中小企業のおよそ3社に1社が2023年度以降に「賃上げ」を実施
2023年に大企業を中心に相次いだ「賃上げ」の動きは、2024年に入ってさらに活発化している。賃上げ促進税制といった政府支援もあり、企業には引き続き賃上げが求められるが、中小企業における状況はどのようになっているのだろうか。エン・ジャパンははじめに、「2023年4月以降、正社員の賃上げを行なったか?」と尋ねた。すると、「行なった」とする企業が66%で最多となり、一方の「行なわなかった」は28%となった(「わからない」が7%)。およそ3分の2の中小企業が2023年度以降に賃上げを行なっており、行っていないとする企業の2倍以上であることがわかった。
賃上げ幅のボリュームゾーンは「5,000円~9,999円」
次に同社は、「賃上げを行なった」とした企業に対し、「月給の上昇幅」を尋ねている。すると、最多となったのは「5,000円~9,999円」(37%)で、以下は「4,999円以下」(25%)、「10,000円~29,999円」(22%)、「30,000円以上」(4%)と続いた。中小企業における2023年以降の賃上げ幅のボリュームゾーンは、「5,000円~9,999円」であることがわかった。賃上げ実施の理由は「社員のモチベーション向上」が断トツ
続いて同社は、賃上げを行なった企業に対して「賃上げを実施した理由」を尋ねた。すると、「社員のモチベーション向上」が75%でトップとなり、以下に36ポイント以上の差をつけた。そのほかに回答が多かったのは、「人材の確保・採用」と「物価上昇への対応」(ともに39%)、「世間相場への対応」(19%)などだった。賃上げに関する課題は「採用難度上昇」や「モチベーション低下」など
最後に同社が、全社を対象に「賃上げに関する悩みや課題」を尋ねると、最多となったのは「同業他社の賃上げにより、採用難度が上昇」で32%だった。以下は、「賃上げ対象外の社員のモチベーション低下」が29%、「扶養限度がある社員の勤務時間減少」が20%、「人事・労務への業務負荷増加」が同じく20%と続いている。また、「その他」とした人のフリーコメントでは、「大企業の賃上げという明るい報道が多いため、中小企業の社員も『賃上げが当たり前』という感覚になってきているように感じる」(メーカー)や、「賃上げを毎年継続すべきか悩む」(不動産)、「価格転嫁が進まない中で賃上げを行なっているため、利益率の減少が危惧される」(その他業種)といった声が挙がった。