3割以上の上場企業が「法定雇用率」に達せず。2026年の引き上げも1割超が認識不足
一定数以上の従業員を雇う企業は、全従業員に占める障がい者割合を「法定雇用率以上」にする義務がある。厚生労働省はこの「障がい者の法定雇用率」の引き上げについて、24年4月から2.5%、26年7月からは2.7%と段階的に引き上げることを発表したが、調査時点(2024年2月)ではどの程度の上場グループ企業が法定雇用率を達成できる見込みだったのだろうか。はじめに同社は、「2024年4月に適用される法定雇用率2.5%の達成見込み」を尋ねた。すると、「4月時点で法定雇用率2.5%は未達成の見込み」との回答は31.3%(今年度中の達成は難しいが2~3年以内の達成を計画している:15.3%、達成に向けて取り組んでいるが達成の目処は立っていない:9%、現段階では達成に向けた取り組みは進んでいない:5.7%、その他:1.3%の計)で、3社に1社程度にとどまった。
そこで、「2026年7月に障がい者の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上がることを知っているか」と尋ねたところ、「いいえ」との回答が1割を超えた(14%)という。2024年4月の引き上げは段階的な措置であるにも関わらず、障がい者雇用担当者の1割以上が、2年後の法定雇用率の引き上げについて「知らない」という実態のようだ。
この結果から、障がい者雇用の法定雇用率上昇など、今後の市場動向に対しての認識が十分ではない企業が一定数あると推察できる。
取り組みへの「限界」を半数以上が認識。充足が進む企業ほど“新たな取り組み”の必要性を実感
続いて同社は、「法定雇用率が上昇するにあたり、今までの取り組みで法定雇用率を達成できると思うか」と聞いた。すると、「今までの取り組みでは限界を感じる」との回答は51.4%(やや限界を感じる:38.7%、非常に限界を感じる:12.7%の計)と、半数を超えた。さらに、「今後障がい者雇用の法定率が上昇するにあたって、新たな雇用方法や取り組みが必要だと感じるか」を尋ねた。その結果、7割以上となる74.3%(必要性を非常に感じる:23%、必要性をやや感じる:51.3%の計)が、“今後新たな雇用方法や取り組みが必要”と感じていることがわかった。
実施施策は「公的支援機関との連携」。検討施策は「障がい者雇用専門の人材紹介活用」に
最後に同社は、「外部による障がい者雇用の支援施策の中で現在取り組んでいるもの」を質問した。すると、「公的支援機関(ハローワーク、障がい者就業・生活支援センターなど)との連携」(64%)が最も多かった。以下、「障がい者雇用専門の人材紹介の活用」(45.7%)、「外部の民間支援機関(就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など)との連携」(40.7%)と続いた。一方、「取り組んでいる施策はない」(7.3%)との回答は1割未満だったことから、約9割の上場グループ企業は、障がい者雇用において外部による支援施策を活用しているとわかった。
そこで、「今後取り組む予定/取り組みたいと思っている外部による支援施策」を聞いたところ、「障がい者雇用専門の人材紹介」(28.3%)、「外部の民間支援機関との連携」(27.4%)、「オフィス型採用代行(サテライトオフィス)の活用」(25.1%)と続き、各数値に大きな差は見られなかった。
他方で、「今後取り組む予定/取り組みたいと思っている施策はない」(16.1%)との回答は2割未満にとどまった。新しい取り組みに対して、既にある程度目星をつけている企業は少なくないようだ。