世界500社で障がい者の潜在的価値発揮を支援
WHO and World Bankが2011年に発表した「World Report on Disability」によると、世界の障がい者人口は約10億人といわれている。また、「Return on Disability (2020) Annual Report: The Global Economics of Disability」によると、障がい者とその友人や家族を合わせた購買力の総額は13兆ドルとなり、市場は大きい。その一方で、障がい者に配慮した商品等を提供している企業は3.6%(同Return on Disabilityより)と非常に少なく、今後の成長が期待される分野といえるだろう。さらに昨今、日本では障がい者の法定雇用率が改正され、雇用やその情報開示が進むものの、該当者が潜在能力を発揮して働く環境の整備や情報開示は不十分であり、企業間の知見を共有する場もないのが現状だ。
そこで、2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」にて、障がい者を取り巻く課題を、グローバル企業が協働してビジネスの視点から解決するべく、「The Valuable 500(V500)」が発足した。同組織は、世界500社のビジネスリーダーからなる組織で、社会やビジネス、経済において障がい者が潜在的な価値を発揮できるような「改革」を起こすことを目指すものだ。
今回、これまで参加を募ってきた500社が全て出揃ったことを機に、募集を終了。今後は障がいのある消費者の「ニーズ調査」や「商品開発」、「企業の障がい者インクルージョン度合いを図る指標づくり」、「アクセシビリティに配慮した求人ポータルサイトの設置」などを行っていく。また、国際医療機関等や加盟企業同士をつなぐネットワーク会議等の主宰により、知見の共有を目指していくという。
なお、加盟の日本企業50社は以下の通り。
このような取り組みを行うことで、障がい者の「働きやすさ」や「暮らしやすさ」を考えることができるだろう。障がい者雇用を難しいと感じている企業も、まずは理解や知見を深めることで、不足する人材の確保や生産性向上につながるかもしれない。