7割弱が「顧問先の売上は減少」と答える、「資金繰りの悪化」は6割が実感
税理士は、顧問先中小企業の「2020年の新型コロナ影響」をどう感じたのだろうか。はじめに、「顧問先である中小企業における2020年の売上と資金繰りの状況」を尋ねた。すると、「売上の変化」は、「減少に転じた」が56%で最も多く、「連続減収」の9%と合わせると65%に及んだ。また、「資金繰り」についても、「やや悪くなった」が47%、「悪くなった」が14%で、合わせて61%となり、多くが「2020年は中小企業の業況が悪化した年」だと感じているとわかった。
コロナ禍の影響で、年間の税理士相談は増加傾向に
次に、「2020年を通して、顧問先からの各種相談は昨年と比べて変化したか」を尋ねた。その結果、「補助金や助成金の申請相談」については、「増えた」が67%、「やや増えた」が27%と、合計94%が増加と回答した。「資金繰りの相談件数」は、「増えた」が35%、「やや増えた」が40%と、合計75%が増加を実感。また、「事業継続や事業方針の相談件数」は「増えた」が14%、「やや増えた」が36%で合計50%となった。いずれの相談も増加していることから、「コロナ禍で財務や経営において不安を抱えている中小企業」が多いことが推測できる。
減収した事務所は2割弱にとどまるものの、1年後は税理士も悪化すると予想
また、「2020年の(自身が属する)会計事務所の売上」について尋ねると、「連続増収」が34%と、3分の1を占めて最多だった。一方「減少に転じた」は13%、「連続減収」は2%と、「減収した」と回答した税理士は15%にとどまった。最後に、「1年後の税理士業界の業況をどう見るか」を尋ねると、「良くなる」が7%、「やや良くなる」が7%と、今後の好転を見込む税理士はわずか14%にとどまっている。一方、「悪くなる」が11%、「やや悪くなる」が40%で、合計51%となり、半数の税理士は「業況が悪化する」と感じていることが明らかとなった。その要因として「景気の悪化」をあげた声が最多で、次に「顧問先数(中小事業者数)の減少」が続いた。