「時間外労働削減報奨金」制度導入により、働き方への「意識」を変える
東急建設株式会社が支給を決めた「時間外労働削減報奨金」は、全従業員の約4割にあたる「キャリア職(総合職および一般職)」の従業員を対象としている。若手・中堅層のキャリア職の中には、時間外労働が減ることで収入も減少するといった懸念の声があった。これらが時間外労働の削減を推進していく上での障壁となっていたが、削減できた時間外労働分を「報奨金」として支給することで、減った残業手当を一部補てんし、「残業を前提としない働き方」を従業員に意識づけていく狙いがある。支給額は、働き方改革が本格化する前の2017年度を基準年度とし、翌2018年度の「1人あたりの時間外労働・休日出勤時間数」と比較・算出する。17年度と18年度を比較したところ、年間で総合技術職の場合は平均52時間、総合事務職は平均5時間の労働時間を削減できたため、その時間外手当相当額分を報奨金として該当する従業員に支給する予定だ。
東急建設が目指す「働きやすさ」と「働きがい」が両立したエンゲージメント
同社はこれまで、働き方改革の一環として2018年7月より「時間単位での年休取得制度」や「フレックスタイム制」、「テレワーク勤務」や「勤務間インターバル」などの制度構築を行ってきた。さらに、同年11月からは年に2回、組織の状態の可視化と改善を目的とした「従業員エンゲージメントサーベイ」を実施している。こういった働き方改革に対応した取り組みにより、従業員の「働きやすさ」と「働きがい」の両立を追求しているようだ。時間外労働の削減は業務効率や生産性の向上につながる重要な問題だ。しかし何よりも大切なのは、従業員が「残業することは前提ではない」という意識を持って働くことだといえるだろう。残業を減らすことに対する報奨金の支給により、従業員は収入の減少を不安に感じることなく働くことができ、仕事へのやりがいやエンゲージメントの向上も期待できそうだ。