「一時帰国サテライトワーク制度」によりグローバル人材の就業満足度向上を目指す
KADOKAWAは、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、さらにテクノロジーをより一層活用することで、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略として掲げている。海外事業が加速し、日本と海外拠点の橋渡し役を担うグローバル人材の重要性が高まっている中、日本で勤務する外国籍社員がより働きやすい環境の実現にも力を入れている。今回、グローバル人材の採用強化およびリテンション施策の一環として、外国籍社員を対象に、一時帰国先でリモートワークができる「一時帰国サテライトワーク制度」を導入した。本制度の概要は以下の通り。
●導入開始日:2023年10月1日
●期間:1年度に3回まで、1回最長30日間まで(1年度の合計は最長90日間まで※)
※日本と滞在国での課税が発生する滞在日数の上限が各国で異なるため、多くの国で納税の義務が発生しない90日を上限に制度を開始し、利用状況を確認しながら上限日数については柔軟に検討していく予定
●場所:対象者の旅券保有地のみ。現地での在宅勤務を原則とする
●利用の事由:制限なし
●労働時間:現地時間5:00~22:00までのうち7時間(フレックスタイム)
※原則的には日本国内におけるサテライトワークと同様な働き方を想定
本制度により、不要不急の場合でも帰国先でリモートワークができるようになるという。母国や家族との接点を維持させながら、日系企業に勤務できる精神的・環境的なインセンティブを実現し、グローバル人材の就業満足度向上を目指すとのことだ。
また、本制度を試験的に利用した外国籍社員からは、以下のような声が聞かれたという。質問と、それに対する回答は以下の通り。
「母国を離れて東京で生活する期間が長くなり、ここ数年、両親の誕生日や墓参りなど、家族にとって大切な年中行事にほとんど参加できていないことで、地理的にも精神的にも家族との距離が遠くなっていて寂しいと感じていました。加えて、母国にいる主治医に気軽に相談できないことも不安に感じていたので、本制度を活用しました」(40代 台湾出身社員)
「コロナ禍の期間中は帰省がなかなかできず、数年間家族に会えない状況が続いていました。久々に帰省をする際には、できるだけ家族と一緒にいる時間を増やしたいと考え、一時帰国サテライトワーク制度を利用しました」(30代 中国出身社員)
「平日は在宅でリモート勤務するため、日本にいるときと変わりませんが、週末は実家の家族と過ごすことができて満足しています。また、実家でリモートワークする際に、両親が自分の仕事ぶりをそばで見ることができるため、日本でどのような仕事をしているか理解してもらうきっかけにもなりました」(40代 台湾出身社員)
「サテライトワーク時の日々の生活を通じて、中国現地のトレンドなどの動きをリアルに感じることができた点が非常にありがたかったです。仕事面では、中国マーケットの最前線にいるメリットをいかしてフィールドワークを行うことができ、情報収集と新たな企画の考案が実現できました。あまり他社では見かけない制度ですが、とても有意義な時間を過ごすことができて満足しています」(30代 中国出身社員)
同社は今後も、社会の変化に迅速に対応し、定期的な社員満足度調査や社員との対話を通じて社内の課題やニーズを把握していきたいとしている。その上で、多様性のある社員一人ひとりがプロフェッショナルとして自律的に働き、創造性を自由に発揮することのできる環境整備に努めていきたい構えだ。
労働人口の減少によって企業は慢性的な人手不足に陥っており、グローバル人材の重要性も高まっている。本事例を参考に、自社でもグローバル人材が働きやすい環境の整備に取り組んでみてはいかがだろうか。