職場イジメの目撃・相談があっても、7割以上が未解決の現実
職場トラブルの中でも“イジメ”に関する相談は年々増加しており、厚生労働省が設置する職場トラブルに関する相談窓口では“イジメ”に関する相談が最多を記録している。職場でのトラブルは離職率や生産性などに影響し、企業の人手不足につながる可能性もあるが、社会人は職場の“イジメ”に関してどのような意識を持っているのだろうか。はじめにライボは、「職場イジメを目撃・相談された経験があるか」を尋ねた。すると、「相談を受けた経験がある」が16.2%、「目撃した経験がある」が22.6%、「噂で聞いた経験がある」が21.1%で、職場でイジメの「目撃・相談経験がある」との回答の合計は59.9%となり約6割にのぼった。
また、「目撃・相談の経験がある」とした回答者に、「その後の行動」を尋ねた。その結果、「何もしなかった」は17.5%、「何もできなかった」は34.7%で、約半数は「何もしていない」ことがわかった。一方で、「一緒に解決に動いた(解決した)」は25.2%、「一緒に解決に動いた(解決しなかった)」は22.6%で、合計47.8%だった。行動の有無に関わらず、解決に至らなかったケースが7割以上あることも明らかになった。
職場イジメの境界線は「数名による軽度なからかいの継続・エスカレート」が最多に
続いて同社は、全体に対して「イジメだと思う境界線」を尋ねた。なお、この質問をするにあたり、同社は「職場イジメのレベル」を以下の5つに分類している。レベル1:1対1の比較的軽度な言葉によるからかい(いじり)
レベル2:数名による比較的軽度なからかい(いじり)
レベル3:レベル2の継続、エスカレート(本人が傷つくいじり)
レベル4:イジメと認識しながらレベル3を継続、意図的な仲間はずれ(はぶり)
レベル5:個別・集団問わずモラルのない人格否定を浴びせ続ける
その結果、「レベル3」(44.3%)が最も多く、以下、「レベル1」(21.8%)、「レベル2」(19.8%)が続いた。
また、「嫌がらせ・イジメだと思うものは何か」を尋ねたところ、「直接的な暴力や暴言」(72.3%)、「無視や仲間はずれ」(71.8%)、「ミスを必要以上に問い詰める」(67.7%)が上位にあがった。
イジメを「行ったことがない」が半数超。加害者意識がある人は3割未満に
続いて同社が、「実際に行ったことのある職場イジメ」を聞くと、「行ったことがない」が53.3%で最多だった。一方、「行ったことがある」イジメで最も多かったのは、「レベル1」で21.1%となった。また、「レベル1」(21.1%)、「レベル2」(13.1%)、「レベル3」(6.8%)の合計は41%で、約4割がレベル1~3程度のイジメを実際に行ったことがあると自覚していることがわかった。
あわせて、「実際にレベル1~5のイジメの加害経験がある」とした回答者に、「加害者になっていたと思うか」を尋ねたところ、「とても思う」(4.8%)、「やや思う」(7.1%)、「どちらかといえば思う」(15.7%)の合計は27.6%と、3割未満だった。
「軽度なイジメを経験」は6割超。被害と加害の経験認識にはズレも
続いて同社は、「実際に受けたことのある職場イジメ」を聞いた。すると、最も多かったのは「経験したことがない」(33.8%)だった。また、実際に経験した被害レベルとしては「レベル1」(22%)が最多となった。さらに、「レベル1~5のイジメを受けたことがある」とした回答者に、「被害者になっていたと思うか」を尋ねた。すると、「とても思う」(21.4%)、「思う」(20.5%)、「どちらかといえば思う」(24.9%)の合計は66.8%におよんだ。このことから、被害経験を実感する人は、加害経験を自覚する人の倍以上いることがわかった。
「上司」や「先輩」など年上からのイジメ被害が多数
次に同社が、被害経験があるとした回答者を対象に「誰から職場イジメを受けたか」を尋ねたところ、最も多かったのは「上司」(45.8%)だった。以下、「先輩」(40.7%)、「同じ地位・役職」(30.2%)が続き、職務上の地位が高い人からの被害が多い結果となった。また、「被害後の影響」を尋ねると、「モチベーションが下がった」(46.3%)や「職場に行きたくなくなった」(43.3%)、「周りを信用できなくなった」(36.5%)が上位にあがった。
6割以上の企業がハラスメント防止対策を実施。「相談窓口の設置」が最多に
最後に同社は、「職場でのハラスメント防止対策の有無」を質問した。すると、「ある」が62.9%で6割に達した。一方、「有無を知らない」が21.4%、「ない」が15.7%となった。さらに、ハラスメント防止対策があるとした回答者に「具体的なハラスメント防止対策」を尋ねたところ、「相談窓口を設けている」(73.8%)が最も多かった。以下、「ハラスメントガイドラインの周知」(65.8%)、「ハラスメント研修および教育を実施」(48.4%)が上位を占めた。