障がい者雇用に「課題を感じている」企業は約8割。「業務の切り出し」に課題感
政府は、障がいの有無に関係なく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指して取り組んでいる。この取り組みの一つとして「障害者差別解消法」が改正され、2024年4月からは事業所の「障がいのある人への合理的配慮の提供」も義務化される。これにより、企業では今後ますます“障がい者雇用”や“障がい者就労”への社内理解を深めていく必要があると言えるが、企業の障がい者雇用はどのような実態なのだろうか。はじめに月刊総務は、「障がい者雇用に課題を感じているか」を尋ねた。すると、「とても感じている」が61%、「やや感じている」が19.5%で、合計80.5%だった。約8割の企業が障がい者雇用に課題を感じていることが明らかとなった。
あわせて、「障がい者雇用に関してどのような課題を感じているか」を尋ねたところ、最も多かったのは「業務の切り出し」(68.2%)だったという。以下、「適性・能力が発揮できる仕事への配置」(63.6%)、「従業員の障害への理解」(57.6%)、「コミュニケーション・人間関係」(54.5%)が続いたとのことだ。
約8割の企業が「障がい者雇用」を実施も、半数が法定雇用率を満たせず
続いて、同社が「現在所属している会社で障がい者雇用を実施しているか」を聞いたところ、「はい」が79.3%、「いいえ」が20.7%で、約8割の企業で障がい者雇用を行っていることがわかった。一方、「所属する会社では、障がい者法定雇用率を満たしているか」を聞くと、「はい」が40.2%、「いいえ」が51.2%で、約半数の企業が障がい者法定雇用率を満たせていなことが明らかになったという。
「法定雇用率を満たせていない理由」の自由回答には、「障がい者に適した業務を用意できないから」、「受け入れ態勢が整っておらず、積極的な障がい者雇用が難しいため」などの声が聞かれたとのことだ。
障がい者の受け入れ先は「管理部門」が突出する結果に
続いて同社は、「障がい者雇用を実施している」とした企業を対象に、「雇用した障がい者をどの部門で受け入れているか」を尋ねた。その結果、「管理部門(総務・人事・経理)」(72.3%)が突出して多かった。以下、「製造部門」(26.2%)、「営業部門」(16.9%)と続いた。7割以上の企業が「障がい者の適性や能力に合った仕事を割り振れている」と実感
続いて、同社が「障がい者への仕事の割り振りに難しさを感じるか」を尋ねると、「難しさを感じる」との回答は8割に迫ったという。一方で、「障がい者の適性・能力に合った仕事を割り振れていると思うか」を尋ねたところ、「非常にそう思う」(18.5%)と「ややそう思う」(56.9%)の合計は75.4%で、7割以上の企業が適性・能力に合った仕事を割り振れていると感じていることがわかった。
障がい者が「本業に貢献できている」とした企業は8割に
最後に同社は、「障がい者は本業に貢献できていると思うか」を質問した。すると、「とても思う」(38.5%)と「やや思う」(41.5%)の合計は80%で、8割の企業が本業に貢献できていると実感していることが示された。加えて、「障がい者従業員に、より活躍してもらうために必要だと思うこと」を自由回答で尋ねた。その結果、「一人ひとりの特性把握と周囲の理解」、「定着しやすい環境づくり」、「障がい者の方がスキルアップできる研修制度を整えること」などの声があがったとのことだ。