サイボウズ株式会社は2023年7月18日、「年上の部下へのマネジメント」に関する意識調査の結果を発表した。調査期間は2023年5月24日~29日で、年上の部下がいる30~50代のミドルマネージャー(課長~部長職相当)1,500名と、年下の上司(課長~部長職相当)がいる50代正社員(職位不問)1,000名から回答を得た。本調査では、マネジメントする側/される側それぞれの意識が明らかとなった。
“年下の上司”の苦労とは? “年上の部下のマネジメント”は敬語よりも「傾聴」や「関係づくり」が重要と双方が認識

“年下の上司”と“年上の部下”、双方で7割以上が「仕事がやりやすい」と回答

成果主義へのシフトや定年延長といった人材戦略の変化などで、年功序列型の組織形態はもはや当たり前ではなくなってきている。現在増えつつある、“年下の上司”や“年上の部下”といった関係のマネジメントの実態はどうなのだろうか。

サイボウズは、“部下が年上である”という人と、“上司が年下である”という人それぞれに対し、「仕事のやりやすさ」を尋ねた。すると、どちらの場合も「やりやすい」(「とてもやりやすい」と「まあやりやすい」の合計)は76%と同率で、過半数を上回っていた。
年下の上司・年下の部下との仕事のやりやすさ
また、“年下の上司”と“年上の部下”それぞれにおいて「仕事がやりやすい」と回答した人に、「その理由」を尋ねた。すると、“年下の上司”側の上位3つは、「仕事を任せられるから」(40%)、「相手が聞く耳を持っているから」(35.2%)、「相手のスキルや経験が十分だから」(34.2%)となった。年上の部下に対する、仕事への信頼に関わる理由が多かった。

一方、“年上の部下”側の上位3つは、「相手に上から目線がないから」(42.3%)、「相手が聞く耳を持っているから」(39.8%)、「相手が話しかけやすい雰囲気」(36%)だった。年下の上司との接しやすさや相談しやすさに関わる理由が上位となった。
相手との仕事が「とてもやりやすい」「まあやりやすい」と答えた理由

それぞれの立場で上司・部下間の関係構築において求めていることは?

続いて同社は、年下の上司・年上の部下それぞれに対し、「年上の部下へのマネジメントに必要だと思うこと」を聞いた。その結果、「敬語・丁寧な言葉遣い」との回答について、“年下の上司”側では41.9%で最多だったのに対し、“年上の部下”側は27.7%にとどまった。

一方、マネジメントされる側となる“年上の部下”側で最多となったのは、「部下の話を聞く」で43.2%だった。以下、上位には「適切な判断と意思決定」や「部下のミスのフォロー」といった項目が続いた。これらの4項目について、「年下の上司が部下に実際にしている」と回答した割合は10ポイント以上下回り、実態としては難しい様子もうかがえた。
年上の部下へのマネジメントに必要だと思うこと

年下の上司は「部下の固定化した価値観」や「チームの人間関係」に苦労

続いて、“年下の上司”に、「年上の部下」について尋ねた。その結果、「年上の部下の価値観は、なかなか変わらない」(67.6%)、「年上の部下は、所属チームの人間関係において気を遣う」(58.6%)の項目について、過半数が「そう思う」と回答した。

実際に自由回答でも、「年上の部下に気を遣い、伝え方が難しい」や「年上の部下と他メンバーとの、関係調整に苦労している」という声があったという。
年上の部下に関する意見

年上の部下には「チームの屋台骨」としての期待を寄せている

最後に同社は、「年上の部下に関する意見」を、“年下の上司”・“年上の部下”それぞれに聞いた。すると、“年下の上司”の回答では、「若い人の手本となるべき」(80.8%)、「所属チームのパフォーマンス発揮の主力となるべき」(74.6%)、「あれこれ指導しなくても自走して成果を出すべき」(73.2%)、「上司に適切な助言やアドバイスをするべき」(62.7%)が、いずれも高い傾向にあった。“年上の部下”の回答傾向も同様で、年長者に期待している結果が示された。
年上の部下に関する意見
調査結果から、“年下の上司”と“年上の部下”のどちらも、7割以上が「仕事がやりやすい」と感じていた。一方で、「年上の部下の強固な価値観」や「年上の部下と他メンバーとの関係調整」に苦労している実態も垣間見えた。今後も年功序列にならないケースはさらに増える可能性がある。組織・チームの成果を高めるためにも、お互いに認識の擦り合わせに注力するなど、歩み寄る姿勢は重要になるだろう。

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