IT企業の約半数が障がい者の「農園型雇用」を活用
厚生労働省では2024年4月以降、民間企業における障がい者の法定雇用率を段階的に引き上げるとしており、今後、障がい者雇用の需要は高まると予測される。障がい者雇用においては、外部の会社に募集から雇用までの過程を委託し、障がいのある従業員には農園での農作業に従事してもらい、会社として管理費用を支払う「農園型雇用」という雇用方式を活用する企業もあるという。こうした中、国の調査においても障がい者の雇用が上手く進んでいないとされるIT企業では、どの程度雇用が進んでいるのだろうか。はじめにレバレジーズは、「障がい者雇用における農園型雇用の活用数」を尋ねた。すると、「活用していない/わからない」が52.4%、「一部の雇用に活用している」が47.6%だった。約半数のIT企業で、農園型雇用が活用されていることがわかった。
同社が2022年8月に発表した調査では、「単純作業に当たる業務」や「定常的な業務が少ないこと」、「担当者のリソースが不足している」など、依頼する業務の切り出しに課題を抱えているIT企業が多く見られたという。同社は、「外部に委託することにより、業務の確保や担当者のリソース不足も補えるといった理由から、農園型雇用を活用する企業は多い傾向にありそうだ」との見解を示している。
障がい者雇用率を満たす企業でも「計画的に進んでいない」との回答が1割以上に
次に同社が、「(障がい者雇用の)法定雇用率を満たしているか」を尋ねたところ、「満たしている」は64.4%だった。一方で、「満たしていない」は35.6%と、法定雇用率に到達しない企業も3割以上存在した。障がい者雇用が計画通りに進んでいる企業では「定着」を重視
続いて同社は、障がい者雇用が「計画通りに進んでいる企業」と「進んでいない企業」に分けて、「採用と定着のどちらに要因があるか」を尋ねた。すると、「計画通りに進んでいる」とした企業では、「定着」(36.2%)が最も多かった。「計画通りに進んでいる企業」に「うまくいっている要因」を尋ねたところ、「採用経路の確立」や「選考フローの工夫」といった回答が多く集まったという。雇用条件よりも、採用経路や選考方法に注力している企業が多いと推測できる。
続けて同社が、「計画通りに進んでいない」とした企業を対象に、「採用においての課題」を尋ねたところ、「採用活動に取り組めていない」や「採用経路が確立できていない」との回答が多く集まったという。同社は、「採用活動の実行と採用経路の確立がキーポイントになりそうだ」との見解を示している。
障がい者雇用が計画通りに進んでいない企業の3分の1が「内定率1割未満」に
最後に同社は、障がい者雇用が「計画的に進んでいる企業」と「進んでいない企業」に分けて、「応募からの内定率」を尋ねた。その結果、「計画通りに進んでいる企業」では、「20~30%未満程度」(20.3%)が最も多かった。一方で、「計画通りに進んでいない企業」では「10%未満」(35.7%)が最多だった。障がい者雇用が計画通りに進んでいるIT企業の内定率は、相対的に高い傾向にあることがうかがえる。