株式会社学情は2023年1月11日、「人的投資」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2022年12月9日~14日で、企業・団体の人事担当者370名より回答を得た。これにより、企業での人的投資の実施率や、人的投資により解決を期待している課題が明らかとなった。
「人的投資」に対応済みの企業が2割に。“人材定着”を目指し準備や検討を進める企業も半数以上に

約8割が人的投資に「対応済み」もしくは「準備・検討中」と回答

昨今、生産性の向上や競争力の強化、従業員の自律的なキャリア支援など、さまざまな観点から「人的投資」への関心が高まっている。また、2023年から「人的資本の開示」が強化される見込みだが、人的投資に取り組む企業はどの程度あるのだろうか。はじめに学情は、「人的投資の対応を実施・検討しているか」を尋ねた。すると、「対応している」が21.4%、「対応に向けて準備している」が19.2%、「対応を検討している」が37.1%で、計77.7%だった。約8割の企業が対応済みまたは対応の準備・検討をしていることがわかった。

また、人的投資の対応を実施・検討している企業のフリーコメントでは、「人材定着のためには取り組みが必須だと考えている」や「人材の流動化に伴い、キャリア形成支援の充実や年収アップが不可欠だと感じている」、「若い世代を中心に、スキル習得や専門性の発揮、成果に応じた評価を重視する人が増えている」などの声が寄せられたという。
人的投資への対応を実施・検討しているか

人的投資によって解決を期待する課題は「社員の定着」が最多

次に同社が、「人的投資によって解決を期待している課題」を尋ねると、「社員の定着における課題」が37.6%と最も多かった。以下、「採用における課題」が25.8%、「経営における課題」が15.8%、「業務拡大における課題」が18.1%と続いた。人材への投資を強化することで、社員の定着や採用力の向上を目指す企業は多いと推測できる。

課題の具体的な内容を自由回答で尋ねると、「社員が働きがいを感じられるようにしたい」、「業務拡大のためには、新規採用だけでなく社員の定着が必須だと思う」、「人が生み出す付加価値が競争力の源泉になるため、優秀な社員の定着を図りたい」などの声が聞かれたという。
人的投資によって解決を期待している課題

人的投資強化のために「研修機会の拡充」、「人事評価制度の変更」を実施・検討

最後に同社は、「人的投資強化のために対応していること、対応を準備・検討していること」を複数回答で尋ねた。その結果、「研修機会の拡充」が62.4%と最も多く、以下、「人事評価制度の変更」が50.2%、「年収の引上げ」が34.5%、「経験者採用の拡充」が32.1%で続いた。社員の活躍機会をサポートし、その活躍の評価基準を明確化する動きに注力する企業が多いことがうかがえる。

自由回答では、「時代の変化に合わせて人事評価制度も変更していくことが必要だと思う」や「リスキリングを実施し、自社でDX人材を育成できるようにしたい」、「競争力強化のためには、社員のスキルアップ支援が必要だと感じている」などの声があがったという。
人的投資強化のための対応および対応の準備・検討していること
本調査から、人的投資への関心が高まっていることを受け、約8割の企業で対応の実施や準備、検討を始めていることがわかった。人材の流動化が進む今、企業には定着を図るための工夫が求められているといえる。研修機会や人事評価制度の拡充により、従業員が求める働き方と企業が求める人材の一致を目指してみてはいかがだろうか。

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