社員一人ひとりのキャリア自律を図り、新たな価値を生む体制を構築するねらい
昨今、デジタル化の加速やAIといった新技術の急速な進展により、情報通信市場におけるイノベーションや価値提供の場は広がっている。その一方で、業界・分野の垣根を超えたさまざまなプレイヤーの進出により、多面的・多層的な市場競争が激化しているという。このような中で、NTTがグループ全体で事業変革と新事業領域拡大を強力に推進し、新たな価値を創造・提供していくには、社員それぞれがこれまで以上に高い専門性とスキルを獲得し、多様な分野で付加価値を創出していくことが不可欠だと同社は考えている。
そこでNTTは、社員が高い専門性の獲得に意欲を持ち続けながら、自らのキャリアビジョンを描き、それを実現できるよう、新たな人事給与制度の導入を決めた。新制度では、これまでのように「年次・年齢」や「在級年数」ではなく、「専門性」や「スキル」の度合いを重視し、評価や給与・人事異動等が決まるという。
昇格・昇給の基準として、「18の専門分野」ごとに専門性や能力に応じた「等級(グレード)」を設定
新人事給与制度は、「専門性により昇給していく人事給与制度」と「自律的なキャリア形成を支援する人事体系」からなる。このうち、人事給与制度では、「営業系」、「開発系」、「IT系」など18の専門分野を創設する。また、それぞれに求められる“専門性”や“行動レベル”を明確化した「グレード基準」を設けている。その上で、各分野における専門性の獲得・発揮度に応じて昇格・昇給していく仕組みだ。特に専門性の高い社員に高処遇を可能とする、「スペシャリストコース」も創設し、キャリアの複線化を図るという。
専門性やスキルに応じた給与体系を整備することで、社員のモチベーションアップやキャリアビジョンの明確化につながるだろう。このような取り組みも参考にしながら、自社の人事制度や給与体系についても状況に合わせてアップデートしていきたい。