「中小企業退職金共済制度」に関する広報や相談を強化し、加入を促す
「中小企業退職金共済制度」は、中小企業の事業主らが掛金を拠出しあう仕組みと、国の援助により成り立つ、「退職金制度を単独で備えることが難しい中小企業」のために設けられた国の退職金制度だ。企業側のメリットとしては、掛金の一部を国が助成しているため費用負担が軽減されることや、管理が簡単なこと、税制上の優遇措置が受けられることなどがあげられる。2022年6月末時点で、約55万9千社の中小企業が同制度に加入しているという。制度を運営する勤労者退職金共済機構は、10月の「加入促進強化月間」中、中小企業退職金共済制度の積極的な加入促進や広報活動とともに、制度に関する個別相談や説明会を実施するという。また、この活動を後援する厚労省では、都道府県労働局における周知・広報、都道府県に対する制度の周知依頼など、さまざまな活動に取り組む予定だ。
なお、中小企業退職金共済制度は、中小企業を対象とする「一般の中小企業退職金共済制度(中退共)」と、期間雇用従業者が対象となる「特定業種退職金共済制度」の2つがある。「特定業種退職金共済制度」には、「建設業退職金共済制度(建退共)」と「清酒製造業退職金共済制度(清退共)」、「林業退職金共済制度(林退共)」がある。
同年10月中より始まる「加入促進強化月間」の概要は以下の通り。
1.実施期間:2022年10月1日~31日まで
2.主催:独立行政法人勤労者退職金共済機構
3.後援:厚生労働省
4.主な取り組み内容
<独立行政法人勤労者退職金共済機構>
●ポスター・パンフレットの配布など:中退共、建退共、清退共、林退共の各制度のポスターやパンフレットを作成し、市役所やハローワークといった公共の場所にポスター掲示を依頼する。また、関係機関等を通じて事業主などへパンフレットを配布する。
●マスメディアなどを通じた広報の強化:新聞・テレビ・ラジオなどのマスメディアやインターネット、地方公共団体などの発行する広報紙(誌)による広報を強化する。
●事業主団体などを通じた周知・啓発、協力要請:事業主団体や関係団体などに、各制度の周知・啓発の協力要請する。また、建退共に加入していることを示す「建退共現場標識」の掲示を要請する。
<厚生労働省>
●都道府県労働局へポスター掲示などの周知・広報を実施する。
●制度の周知に関する協力などを都道府県に対し依頼する。
●各行政機関、事業主団体などに、勤労者退職金共済機構の実施する「加入促進活動への協力」を要請する。
10月より始まる「加入促進強化月間」では、制度に関する個別相談や説明会が設けられることから、加入を検討中の企業も相談しやすいのではないだろうか。未加入の企業では、広報される内容を確認した上で相談会等に参加してみてはいかだだろうか。