世界11ヵ国で人材紹介事業を手がける株式会社 ジェイエイシーリクルートメントは2021年5月18日、インド国内での新型コロナウイルス感染症拡大を受け、日系企業の一時帰国状況について調査を行い、その結果を発表した。調査期間は2021年5月6日~10日、インドで事業を展開する日系企業の人事および経営者117名より回答を得た。これにより、インドの日系企業における一時帰国指示の現状が明らかとなった。
インドで拡大する新型コロナウイルス感染症、日系企業の半数が日本人社員に一時帰国を指示

5割が一時帰国指示について「すでに出ている」と回答

世界的な新型コロナウイルス感染症拡大により、現地に事業所等を持つ企業では、社員の一時帰国を促すこともあるだろう。感染状況の深刻さが増すインドの日系企業では、どのような状況なのだろうか。

はじめに、「本社から一時帰国指示は出ているか」を尋ねた。すると、「すでに出ている」が50%と最も多く、半数の企業で日本人社員に一時帰国を指示していることがわかった。以下、「出ていない。方向性も含め検討中」が32%、「出ていない。帰国する方向で検討中」が10%と続いた。
在インド企業:本社から一時帰国指示は出ているか

7割弱が「日本人全員」を対象に

次に、「一時帰国指示を出した対象者」を尋ねた。その結果、「日本人全員」が69%と最も多く、日本人社員全員の一時帰国を指示する企業は7割にせまった。以下、「幹部社員を除き全員」が19%、「希望者のみ(自己判断)が7%」と続き、企業が日本人社員の安全を確保するために対応を進めていることが明らかとなった。
在インド企業:一時帰国指示を出した対象者

判断基準は「国内感染者の増加」と「地域の医療崩壊」が多数

続いて、「帰国指示を出した判断基準」を尋ねると、「インド国内感染者の増加」が29%と最も多い結果に。以下、「地域の医療崩壊」が26%、「外務省からの注意喚起(5月2日付)が21%と続いた。
在インド企業:帰国指示を出した判断基準

最も大きな懸念点は「現場のオペレーション品質維持」

また、「帰国した場合の現地法人の運営に関する懸念点」を尋ねた。すると、「現場のオペレーション品質の維持」が50%で次位と大差を付け、次に「日本人が現地にいないことでの、営業活動低下」が23%となった。現地の日本企業では、日本人社員が中心となって運営を行う企業が多いため、現地でも事業の運営が可能な「現地化」が課題であることが判明した。
在インド企業:現地法人の運営に関する懸念点
変異株の登場やワクチン接種の進度によって、感染状況は世界でも大きく差が出てきているといえるだろう。国内の社員だけでなく、世界で働く自国の従業員を守るのも、企業の役目といえよう。

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