雇用調整助成金の対象期間を再延長。延長期間は宣言解除の翌月末まで
雇用調整助成金の特例措置とは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて事業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために「従業員の休業」という形で雇用調整を実施する事業主に対し、休業手当などの一部を助成するもの。厚生労働省は、2021年2月28日までとしていた雇用調整助成金の対象期間を再延長する方針を示した。今回の発表によると、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金(以下、雇用調整助成金等)、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、休業支援金等)の延長期間について、現段階では詳細な期限日を設けず、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末までを対象期間にするとしている。これにより、現在発令されている宣言が予定通り2月7日に解除された場合は、3月末まで対象期間が延長される見込みだ。
また、特に業況が厳しい大企業に対して、雇用調整助成金等の助成率の引き上げも実施する。現状、緊急事態宣言を受け営業時間の短縮等に協力する飲食店等へは、雇用調整助成金等に係る大企業の助成率を最大100%に引き上げるとしている。これに加え、売上等の「生産指標」が悪化する全国の大企業に対しても、助成率の引き上げを実施する考えだ。具体的には、前年または前々年の同期と比べ、最近3ヵ月の月平均値で30%以上減少した場合、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで、雇用調整助成金等の助成率が以下の要件ごとに最大100%となる。
・解雇等を行わない場合の助成率:10/10(これまでの特例措置の助成率3/4)
・解雇等を行っている場合の助成率:4/5(これまでの特例措置の助成率2/3)
今回の措置は、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月(2月7日に解除された場合4月)から、現状の雇用情勢が大きく悪化しない限り、段階的に縮減するとともに、感染拡大地域および、特に業況が厳しい企業についてはさらなる特例を設ける予定としている。
政府によって発令されている緊急事態宣言に加え、県や自治体で独自に設けられた宣言により、事業活動の縮小を余儀なくされている事業者は多いだろう。感染拡大を防ぎつつ、雇用と事業を維持していくために、国の支援施策等も積極的に活用していきたい。