研修に遅刻した受講者は「教室に入れない」という企業も多くあるかと思います。弊社のお客様でも多く、わざわざ地方支店から5時間かけてやってきても、あらかじめ連絡がない場合は、その場で帰らせています。

一方で、妙に寛容で、1時間くらい遅れてきても、「どうぞ、どうぞ」と研修担当者が入れるところもあります。
  概ね、若手の階層別研修では厳しくする傾向はあります。それは、基本のしつけを行う意味合いがあるからでしょう。企業において、約束した日時までに商品やサービスを収められないというのは、
 相手方に損失を与えることになりますので、時間を含めルールに厳しいのは当然のこと。なので、日常の会議や研修などでも同じ雰囲気で臨むのが正当ではないかと私は思います。

 さて、弊社の新入社員研修で実施してる意識調査の中で「遅刻とかルール違反など、小さなことでうるさく言う会社は官僚的(規則にとらわれすぎ)だ」とい設問の回答傾向は、次のようになっています。

そう思う    2.6%
わからない   4.4%
そう思わない 93.0%


 この設問「会社は」と明確に書いており、会社で働くことを前提にしています。経年変化を見ると、2001年に「そう思わない=ルールを厳守しても官僚的ではない」という回答が88.3%、その後2010年頃まで緩やかに上昇し、94.2%になり、さらにその後緩やかに減少して、2015年に93%になりました。
学生のあいだこそ、校則を多少、破ってきたりしてきたこともある(たぶん)と思いますが、企業において、ルールを守るということは当たり前だと9割以上の新入社員は認識しています。

 その上でなお2.6%の人は、ルールを守れと言われるのは、官僚的過ぎると認識しています。
この2.6%の少数者に着目すると、次のような特性があることがわかります。
・協調より、業績。人に負けない仕事をする。
・効率よく仕事をしたい。
・自分の好きな仕事でないと意欲を失う。


どうやら、わがままな素質があるようです。

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 ルールとは、みんながそれを守ることで、全体の利益になるものでしょう。誰かが守らないと、全体の利益が損なわれるからこそ、ルールを順守しない人には罰があるのです。
 社会契約論ではありませんが、その組織に自分の意志で参加するということは、「一般意思」に相当するであろうその組織のルールや理念に従うということを了承したということです。
それに従うのは当然のこと、という観念はさすがに持っているはず、という前提で私たちは対応しています。

 しかし、実際のところルールには、どこまでなら、ルールに則っているのか、あいまいにならざるを得ない部分があります。例えば、厳密に就業規則などで髪の色をカラースケールの何番以内と書いていたりすれば、それに従いますが、「明るい色ではない」くらいの決め方だと、どこまで良いのかが分かりません。
 その采配は、現場の暗黙的なルールに沿いますので、○○支店ではOKだったのに、本社ではダメなど地域によって変わることもありますし、時間が経つと変化することもあります。。

これを新入社員は、試してきます。
最初は、ルールに厳格に行動しますが、しばらく経つと、徐々にルールを緩くする方向に動きます。例えば、
・朝、出社する時間が少し遅くなる
・服装がリクルートスーツから、明るい色に変わる
・髪がカールし始める
・日常会話の敬語がだんだん、友達言葉になっていく等。

 問題は、どこで、どの程度の変化でそれを指摘し、是正するかです。先輩社員を真似ていることもままあり、明確な改善を促しにくいこともあります。先輩社員がそれで認められているのだから、自分もよいだろうと考えて、崩してきます。
それで叱ると、当然のことながらと「なんで先輩は・・・」と不満を募らせることになります。

 ここで重要なのは、「立場に応じた振る舞い」ということであろうと思います。
 今、自分はどういう立場にいるのか?だからどうするのか?ということを考えさせることです。新入社員はまずは、組織になじむことが重要、という意識はあります。その組織のルール、暗黙の了解といったものを理解し、その組織が新人に期待することを着実にこなすことを求められていることは頭で理解しています。
 そこを再度、納得させれば、上司や先輩、顧客の反発を生むであろう言動は取りません。

 ただ、2.6%の「そう思う=ルールを守れと言われるのは、官僚的過ぎる」という新入社員は、固定観念もなく、組織の既存の概念を壊して新しいものを作る、そういう人であることもあります。この人たちをそのまま単純に排除したり、思考を変えさせるのももったいないところ。ここが「人物を見極める力」の発揮のしどころですが・・・
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