そう思う 53.9%
わからない 18.9%
そう思わない 27.2%
プロのスポーツ選手で、努力を惜しむ人の話を聞いたことがありません。それは、イチローしかり、錦織圭しかり、松山英樹しかり……彼らは相当な練習をしているはずです。つまり、プロというのは、「努力を惜しまない人」といえます。彼らは、「最大努力で最大成果」を狙っていますが、そこに「効率」の思考が入っていることは間違いありません。勝つための努力に、明確な戦略、やり方が備わっておらず、無駄な努力をしていたとすれば、ただちに修正され、正しい、より効率的なやり方に切り替えるに違いありません。
このように、プロのスポーツ選手に置き換えて考えると、「企業活動における効率向上とは、最大の努力で最大の成果を上げることである」ということは理解できる話であるといえます。
しかし、この設問で「そう思う」と新入社員が答える率は、6割弱。経年で比較すると、2009年に60.6%を示して以降、減少傾向にあり、昨年は53.7%とこの17年で最低の数字を記録、今年もほぼ同水準と言えます。つまり、全体的には、「最大努力で最大成果」という思考様式は、減少傾向にあると言えます。
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新入社員研修でのインストラクター報告では、
・基本動作の練習で100%の努力をしてこない。失敗した時に、練習不足を言い訳にする。
・満点を示しているのに、そこではなく、合格点レベルをイメージして、練習しているように見える。
・穴埋め問題で、空白が目立つ。考えて、言葉をひねり出すことはしない。
等の意見がありました。
ワークライフバランスでは、ライフに偏った価値観を持っていると思われる傾向も指摘されています。(新入社員意識調査報告とリンク)
「仕事に喜びを発見するなどというのは、理想論である。仕事は所詮つらいものだという心構えが大切」という設問では、「そう思う」という回答が増加傾向にあります。仕事を一生懸命やろうという意識は、全体的に落ちてきていると思われます。その影響で、「最大努力」よりも、どこか「手を抜いて、合格点に着地する」という意識になっていたとしてもおかしくありません。
このような新入社員にどのように対応して、育成していけばよいのでしょうか。
「人は精神的、心理的に働くことが必要だから働くだけではない。人は何かを、しかもかなりの多くの何かを成し遂げたがる。自らの得意なことにおいて、何かを成し遂げたがる。能力が働く意欲の基礎となる」とドラッカーは言っています。まさしく、Y理論の人間観で、いかに能力を付与するか、ここにカギがあると考えます。
人は、能力を獲得すれば、それを活かし、高めていくことを自然と欲します。基礎的な仕事のやり方をきちんと教え込むこと、そして、やらせて、責任を持たせることでしか、人は成長しません。
あるサービス業を営んでいる企業様では、入社してから3年間の成長プログラムが非常に細かく設定されています。何ができるようになれば、次のステップに進めるのか、明確になっています。某学習塾の55段階ではありませんが、成長が実感でき、その成果も見えるように仕組んでいます。
この企業、新卒の定着率は、同業他社の比ではありません。「普通、いやそれ以下の成績の人を戦力化する、それがうちの戦略。どんな社員も見捨てない」とその企業の社長はおっしゃいます。
仕事の能力を与えること、それが成果を追及させるうえでの第一歩であると考えます。
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