11月14日に新機能の実装と新事業の展開も発表され、さらなる成長が期待される、これらプロダクト群について、同社 代表取締役の原 邦雄氏ならびにChief Operating Officerの渡部 雄大氏に話を伺った。(以下敬称略)
※記事後半にはHRエグゼクティブコンソーシアム代表 楠田 祐氏よりBeatrustの新事業構想の可能性や、人材活用の未来に関するコメントを掲載しております。
【プロフィール】
■原 邦雄氏
Beatrust株式会社 代表取締役
慶応義塾大学卒業後、住友商事に入社。1989年米国コロンビア大学でMBA取得。
その後ソフトバンクで事業開発に従事した後、シリコンバレーに居を移し、米国シリコングラフィックス社に勤務。2000年にスタートアップ向けビジネス開発のコンサルティング会社を現地で創業・経営。シリコンバレー在住10年を経て、オンラインマーケティングのベンチャー企業を設立。事業譲渡後、日本マイクロソフトの広告営業日本代表などを経てグーグルへ入社。執行役員営業本部長として主に広告代理店営業を統括。2018年から同社にて各種組織横断的戦略プロジェクトをリード。グーグルでの経験から社内イノベーションを創出するデジタルインフラの必要性を感じ、2020年3月、タレントコラボレーションツールを提供するBeatrustを共同創業。
■渡部 雄大氏
Beatrust株式会社 Chief Operating Officer
2010年、コンテンツ事業やヘルスケア事業を手掛けるエムティーアイに新卒入社。モバイルコンテンツのプロモーションや新規事業の立ち上げなどを行う。2016年よりリブセンスに入社。就活生向け口コミサイト「就活会議」の立ち上げに参画し、事業グロースから事業譲渡までを事業部長として実現。
2020年からは転職口コミサイト「転職会議」の事業部長として、事業戦略の策定・実行や新規事業立案、組織マネジメントを通じて、事業のV字回復を牽引。2022年からBeatrustに入社し、現在はChief Operating OfficerとしてBiz devやProduct、HRや経営企画をリード。役職にとらわれず、組織成果の最大化に向けて尽力している。
■楠田 祐氏
HRエグゼクティブコンソーシアム代表
NECなど東証一部エレクトロニクス関連企業3社の社員を経験した後にベンチャー企業社長を10年経験。中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後、2017年4月よりHRエグゼクティブコンソーシアム代表に就任。2009年より年間数百社の人事部門を訪問し続け、人事部門の役割と人事のキャリアについて研究。シンガーソングライターとしてもプロ活動している。
社内人材や知見の結びつきを加速させ、イノベーションを生む4つのプロダクト
――まずは御社が提供している4種のプロダクトについて簡単にご紹介していただけますか。原 最初にリリースした『Beatrust People』は、社員のスキルや経験を可視化し、人と人、人と情報をつなげることで社員間の自律的なコラボレーションを生み出そうというものです。『Beatrust People』のプロファイルページには、各個人の業務内容のほか、スキル、経験、パーソナリティ、バックグラウンドなどが“タグ”の形で記載されています。
原 社内に存在する課題をスムーズに解決したい、というニーズに応えるのが『Beatrust Ask』。質問や相談事を投稿すれば社内の専門家から直接レスポンスを得られる、いわば社内専用のQ&Aサイトです。
『Beatrust Share』は情報のシェアリングボード。自分のタグに応じて、興味や関連のあるコンテンツ、最新トレンド、イベントの告知、成功事例記事などが届く仕組みとなっています。
最後が『Beatrust Thanks』。これは社員同士で感謝のメッセージを贈り合う、いわゆるレコグニションツールですね。社員の自己効力感が高まり、そのメッセージを見た他の社員が自分も挑戦の意欲を沸かせてもらうことが目的です。上司の方が積極的に使われることで組織の心理的安全性の向上にも寄与します。
渡部 『Beatrust Thanks』ではメッセージを贈ると同時に相手に新たなタグを追加することも可能です。従業員のインタラクションを通じて、その人のパーソナリティの可視化がさらに進む。つまり『Beatrust People』を補強する役目も持っています。
――機能的には、いわゆるタレントマネジメントシステムとはかなり異なるわけですね。
原 私たちとしては“タレントコラボレーション”を標榜・商標化し、タレントマネジメントとの違いを明確に印象づけたいと考えています。管理者目線、人事部目線の手法であるタレントマネジメントに対して、Beatrustのソリューションは社員目線、個と個をつなぐデジタルプラットフォームであり、立ち位置は根本的に異なります。
原 自分がどういう人間かを開示・可視化することで、組織を超えた知見共有、新しいチームの組成、メンターとメンティーの発掘など“つながる”きっかけにしていただき、その結果として組織の生産性アップや革新性の創出に至る、という点に主眼を置いています。
渡部 タレントマネジメントシステムと競合したり、置き換えたりするものではなく、それらと併用可能なもの。あるいは、後ほどご説明しますが、既存のテクノロジーとコラボレーションするプロダクトだとお考えください。
――こうしたプロダクトの開発に至るきっかけは何だったのでしょう?
原 Google在籍当時、企業のイノベーション支援が私の仕事の1つでした。大企業の幹部の方々は、皆さん「Googleほどの規模の企業で、なぜイノベーションのアイデアが、アジャイルに、かつ次々と生まれてプロダクト化まで至るのか、その要点を知りたい」とおっしゃいます。多くの日本の大企業では志が高く、優秀な人材も揃っているのに革新につなげられていないのです。
理由の1つは組織風土と文化です。イノベーションは多様な人材が集まってボトムアップで生み出されるものであるはずですが、日本の企業は、経営者はトップダウンの気風が強く、組織の中に蓄積されている情報や知見、各種の人材が孤立している“サイロ化”に陥っているように思います。
一方、Googleなどシリコンバレーの企業では、組織が大きい割にコミュニケーションがフラットで、組織横断的なコラボレーションにオープンな風土があります。あえて高い目標を設定してチャレンジすることが称賛される文化と、その挑戦に心理的安全性を付与する制度も整えられています。日本の企業も昔はそうした風土・文化を持っていたはずですが、組織が大きくなるにつれて、加えて長期的な景気低迷の中で、すっかり失われてしまったのではないでしょうか。
渡部 本来、人と人が上手く“つながる”ことができれば、多くの思いやアイデアが生まれるはずです。実際、たとえチームの顔ぶれが同じでも、人と人の関係を整理するだけで組織としてのパフォーマンスが劇的に向上したという体験が、これまで何度かありました。
人と人をつなげるデジタルインフラを提供し、イノベーションに向く風土・文化の醸成をお手伝いすることには社会的意義があるのではないか。そう考えたことがBeatrust創業のきっかけです。
協力:Beatrust株式会社
この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。
●自然文章の検索から求める人材を抽出する新機能『Beatrust Scout(スカウト)』
●散在した人的情報の連携を進めた先に見据える、大きな計画とは?
●自律的なキャリア形成の支援、人的資本経営に寄与できるプラットフォームを目指して
●日本の将来を見越し計画する、社外人材とのマッチングシステム
●Beatrustの最終ミッション「個を輝かせる」。その真意とは?
●HRエグゼクティブコンソーシアム代表 【楠田 祐氏 特別コメント】
Beatrustの新事業構想の可能性や、人材活用の未来について
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