「アジェンダ」の意味
「アジェンダ」とは、会議の議題やスケジュールをまとめた進行計画のことだ。英語では「agenda」と書き、「議題」、「日程」を指す。元々はラテン語で「なすべき事柄」という意味があり、単なる予定表ではなく、実現すべき計画というニュアンスが強い。つまりビジネスでの「アジェンダ」は、会議の全体像の把握と方向性の共有、円滑な進行を目的として、会議の議題やゴール、時間配分、参加者など幅広い情報を含むガイドラインとして活用される。なお、政治の分野での「アジェンダ」は「取り組むべき政策課題」や「実行すべき政策」として使われる。●日本語での言い換え
「アジェンダ」は日本語で「議題」や「日程」の他に以下のように言い換えることができる。・議事日程
・会議予定表
・会議進行計画
・議題一覧
・協議事項リスト
●レジュメ、サマリーとの違い
「アジェンダ」と似た言葉に「レジュメ」、「サマリー」といったものがあるが、これらはそれぞれ似て非なるものだ。「アジェンダ」は会議の議題や進行計画を指すのに対し、「レジュメ」は議題の要約や概要を示したものだ。また「サマリー」は会議後に作成され、会議やレポートの要点をまとめたものを指す。
つまり、アジェンダが「これから何を話し合うかの一覧」を示すのに対し、レジュメは「何について話し合うかの詳細」を、サマリーは「何が話し合われたか」の要点を示す。
●ビジネスシーンで「アジェンダ」が使われるようになった背景
「アジェンダ」という言葉が日本でも使われるようになったのは、1992年にブラジルで開催された「地球サミット」がきっかけだと言われている。このサミットで「アジェンダ21」という環境保全の行動規範が採択され、日本でも広く知られるようになった。その後、ビジネスシーンで会議の効率化や意思決定の迅速化が叫ばれるようになり、浸透していった。会議に「アジェンダ」が必要な理由
「アジェンダ」は会議において必要不可欠なものと言える。その重要性を3つの項目で説明しよう。●目的を共有できる
「アジェンダ」を準備しておくことにより、会議の目的が明確になり、参加者全員が同じ目標を持って議論に臨むことができる。そのため、議論が脱線せず、焦点を絞った話し合いができ、会議の生産性が向上する。●会議の効率化
会議は往々にして些細な議題に時間を取られ過ぎることがある。しかし「アジェンダ」によって各議題の時間配分をあらかじめ決めておけば、重要な議題のための時間を確保し、ダラダラと議論をし続けるような事態を避けることができる。●事前準備ができる
事前に「アジェンダ」を共有しておけば、参加者は必要な資料の準備ができたり、自分の意見をまとめやすくなったりする。そうすれば、いざ会議が始まった時に、議論がより深く、建設的なものになり、意思決定のスピードも上がる。「アジェンダ」の作成方法や書き方
次に「アジェンダ」の具体的な作成方法や書き方を説明していこう。●基本構成
「アジェンダ」は会議において、いわゆるガイドラインの役割を担うため、さまざまな項目を盛り込んでいく。基本構成は以下のようなものになる。・会議の名称
・会議の目的
・日時、場所
・参加者
・議題リスト
・各議題の時間配分
・各議題の担当者
・配布資料
・メモ欄
特に重要なのは会議の目的だ。「なぜこの会議を開くのか、何を達成したいのか」を明確にし、会議の方向性とゴールをあらかじめ設定しておく。また、各議題の時間配分を決めておくことで、会議の進行管理がしやすくなる。
●書き方の例
「アジェンダ」の具体的な書き方の例を紹介しておく。20XX年度 第3四半期人事戦略会議
【会議の目的】
第3四半期の人材管理戦略の確認と課題解決策の検討
【日時】2024年8月15日 14:00-15:30
【場所】会議室A
【参加者】
・山田(人事部長)
・鈴木(労務部長)
・佐藤(採用担当課長)
・田中(経理部長)
【議題】
(1)前回の振り返り(14:00~14:10)
担当:山田
(2)第3四半期の人事戦略概要(14:10~14:40)
担当:山田
(3)採用活動の進捗と課題(14:40~15:20)
担当:佐藤
(4)質疑応答とまとめ(15:20~15:30)
担当:山田
【配布物】
進捗報告資料
【メモ】
「アジェンダ」作成のポイント
円滑な会議を実施するためには、わかりやすい「アジェンダ」の作成が重要だ。そのためのポイントを詳しく解説していく。●会議の進行をイメージする
「アジェンダ」を作成する際は、実際の会議の流れをイメージすることが大切だ。各議題にどれくらいの時間が必要か、議論が白熱しそうな点はどこか、決定に時間がかかりそうな事項は何かなどを予測し、時間配分に反映させていく。また長時間に及ぶ会議の場合は、参加者の集中力を考慮し、重要な議題を会議の前半に配置したり、適切な休憩時間を設けたりするなどの工夫を入れると良い。●議題を詰め込み過ぎない
一つの会議で多くの議題を扱おうとすると、各議題に十分な時間を割けず、表面的な議論に終わってしまう恐れがある。そのため、「アジェンダ」の作成時は、会議の目的に照らして本当に必要な議題を選択し、優先順位をつけることが重要になってくる。議題が多い場合は、複数回の会議に分割することも検討すると良いだろう。各議題について深い議論ができるようにすることが、会議の生産性を高めるためには必須だ。●質疑応答まで踏まえる
各議題の後に質疑応答の時間を設けることを忘れないようにしたい。参加者が質問の準備ができるだけでなく、進行役も時間管理がしやすくなる。参加者が疑問点を残したままだと、後々トラブルに発展する可能性がある。また、議論の最中に予期せぬ課題や新たなアイデアが生まれる可能性もあるため、余白としての時間を設けておくことをオススメする。●議事録を意識する
「アジェンダ」は、後の議事録作成の土台となる。そのため、アジェンダの作成時から議事録を意識することは大切だ。各議題に対して、どのような結論や決定事項を得たいのかを明確にしておくと良い。例えば、「プロジェクトの進捗確認」という議題であれば、「各チームの進捗状況」、「発生している課題」「次の計画」などの項目をあらかじめ設定しておくことで、会議中の議論を構造化し、後の議事録作成に活用することができる。●事前に共有しておく
作成した「アジェンダ」を事前に共有しておくことで、参加者は必要な資料を準備したり、自分の意見をまとめたりすることができる。「アジェンダ」を確認した参加者から、議題の追加や変更の提案があるかもしれない。そのため、参加者が十分な準備時間を確保できるよう、できるだけ早く共有するのが理想だ。「アジェンダ」のテンプレート
最後に「アジェンダ」のテンプレートを紹介しよう。最低限必要な項目を記載しているので、下記に沿って「アジェンダ」を作成すれば、会議が円滑に進められるはずだ。まとめ
「アジェンダ」を活用することで、会議や打ち合わせが円滑に進み、組織全体の意思決定がスムーズになる。特に人事部門においては、様々なステークホルダーとの会議や、採用計画の策定、評価制度の見直し、研修プログラムの立案など重要な意思決定を行う場面が多く、「アジェンダ」は不可欠なツールと言える。また会社全体の無駄な会議を減らすために、すべての従業員に「アジェンダ」作成の重要性を浸透させることも人事の役割となる。新入社員研修や管理職研修のカリキュラムに組み込むことで、組織全体のミーティングの効率化を図ってみてはいかがだろうか。●「ファシリテーター」の意味や役割とは? 上手い人の特徴や注意点も紹介
よくある質問
●「アジェンダ(agenda)」の使い方は?
ビジネスシーンにおいて、「アジェンダ」という言葉は、「議事日程」、「議題一覧」として用いられる。目的は、会議の全体像の把握と方向性の共有、円滑な進行だ。例えば「来週の会議のアジェンダを作成しておいてくれますか」、「事前にアジェンダに確認しておいてください」などという形で使われる。
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